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7.写真サイトのリニューアルについて9.同じところに何度も行こう


「レンズは単焦点に限る」などという気はありません。所有しているデジカメには35mm相当からの3倍ズームレンズが搭載されていますが、広角側が弱いという問題はあるにせよ、大変便利です。


しかし、一眼レフ用のズームレンズは1本も持っていません。理由はいろいろとありますが、欲しいと思えるズームレンズがない、というのが最大でしょう。

焦点距離によってF値が変動するものはマニュアル露出では使いにくいですし、といってF値が一定のレンズはF3.5程度と暗いのが実際のところです。28mm単焦点でF3.5なら問題ないのですが、50mm以上でF3.5というのは少し暗すぎます。やはりボケを楽しみたいので50mmならF2以下は確保したいと思います。また、大きいレンズが多いというのも理由のひとつです。


単焦点レンズはF値は変動しませんし、明るく、軽くコンパクトですが、不便なのも事実です。焦点距離を変えるには、まずレンズをひねって外し、交換するレンズをバッグから取り出し、それを取り付け、そして外したレンズを仕舞う、という4動作を行うことになります。2度程度なら我慢できますが、それ以上になると嫌になること請け合いです。ズームレンズなら、ズームリングをくりっと回すだけですから、その違いたるや大変なものです。

ですから、私は大抵の場合レンズは1本しか持ちません。カメラに付いているレンズだけ。以前は2本以上持っていくと便利だろうと思っていたのですが、実際に持っていって痛い目に遭ってからはやめました。


そういう時に必要なのは、単焦点レンズの不便さを感じさせない撮り方を心がけることだと思います。不便さを感じると楽しくないですから。

具体的には、そのレンズの画角に合う被写体を探す、もっと言えばそのレンズの画角に合う撮り方をする、ということです。即ち35mmレンズには35mmレンズの、105mmレンズには105mmレンズの得意とする被写体がありますし、腕さえあれば焦点距離に合わせて、被写体が活きる画角を見つけることができるわけです。

そしてテクニックの面だけではなくて、欲張らないことが最も大切だと思います。テクニックでカヴァーできない問題というのは必ずありますから。

目に付くところを全て撮りたいと思っているのにもかかわらず、レンズが1本だから不便さを感じるのです。プロフェッショナルじゃないんだから、そのレンズで撮れる部分を撮ればそれでいいじゃないか、と私は思います。今日は35mmレンズの視点で撮ろう、と思って出かけるわけです。そして、その街が気に入って、また機会があれば105mm(とか他の)の視点で撮りに来てもいいな、と。


こうして単焦点レンズを1本だけ付けて散歩していると、ぱっと風景なり町並みなりを見たときに、どの範囲をフィルムに写すことができるか分かるようになります。もちろん厳密なものではなくて、だいたい分かる、という程度ですが。そうなるとこっちのもので、ファインダーを覗いてがっかりする(「あ、被写体が入りきらない」とか「もっと望遠だといいのに」とか)ことはなくなります。そうすると単焦点レンズの不便さはあまり感じなくなって、楽しく散歩しながら写真を撮ることができます。

不便さを感じなくなれば、コンパクトで軽く明るい、という単焦点レンズの魅力が引き立ってきます。


2002年2月16日