FUJI GA645i Professional
2004年12月、ネット上の知人(AriaとNewFM2を交換したのと同じ人です)が、売却したいということだったので、譲って戴きました。
もちろん、カメラなら何でも手当たり次第に入手しているわけではなくて、このGA645iというカメラには以前から興味がありました。
このサイトでも書いたようにリバーサルで撮るようになってから、中判の大画面に対する憧憬が生まれました。しかし、町を散歩しながら、気になる画角をぽつぽつと撮っていくという撮影スタイルにおいて、中判一眼レフは大きく重い上に、ミラーショックによる手ぶれに注意しなければいけませんから、ちょっと現実的ではありません。また二眼レフも、実際に使ってみると、形状的に持ち運びにくい上に比較的軽いとはいえ絶対的には重いわけで、散歩のメインとして使うわけにもいかないことが分かりました。やはり、135システムの一眼レフ+レンズと同等の重さと機動性、そして操作性。そう考えると中判レンジファインダーがいい。ブロニカのRF645はよさそうですが、いささか高価すぎます。安くで使いやすそうで、というと、中古で5万円台のGA645シリーズ。買うならこれだなあ、とぼんやりと思っていました。そのカメラがより安く、しかも信頼できる人から譲ってもらえるとなると、俄然現実味が湧いてきます。そんなわけで購入を申し出た次第です。
このカメラは「大きなコンパクト・カメラ」という言い方で、デザインのまずさ、質感の低さなどを揶揄されます。デザインも質感ももうちょっと考えた方がよかった(定価で16万円もするわけですし)とは思いますが、露出値と合焦距離は表示されますし、露出補正はボタン+ダイヤルで設定できますし、パララックスは補正してくれるわけで、露出、ピント、フレーミングという写真を撮るのに必要な要素をコントロールするのに不備はありません。簡便な操作だけを売り物にしたコンパクト・カメラとは全然違います。
試写をしてみると、たまに変なところにピントが行くようですが、これはファインダー内の合焦距離表示をチェックして、測距しなおせば問題ありません。また、露出計もシンプルな昔ながらのものですが、このあたりは中判を使う人が自動露出そのままで撮るとは考えられないので問題にはならないでしょう。現像されたフィルムを見ると、やはり中判はいいなあ、と思います。レンズの描写にはしっとりした感じがあり、階調も広いと思います。大きなフィルム面積がいい方向に作用しているのかも知れませんが。特筆すべきはブレにくさで、レンズシャッターとしっかりと持てるグリップのおかげでしょう。
サイズも重さも中級クラスのAF一眼レフにバッテリ・パックを付けた場合と同じくらいで、バッグへの収まりのよさは沈胴レンズのGA645iが大差をつけて勝ります。220を通せば32コマ撮れますし、手軽に中判フィルムを使いたい、という私の所期の目的を全てクリアしてくれるカメラです。あまり220でばちばちと撮りすぎるとコストがかさみますけど。
2024年8月追記
2023年11月、久しぶりに実家の防湿庫から持ち帰ってモノクロで撮影してみました。ファインダーが少し曇っていますが、実用上はそんなに問題ではありません。やはりフィルムの面積が大きいと階調が滑らかです。フィルムを撮影してデジタル化しても、その差は明らかに判るレベル。
もう220のフィルムはほとんど流通していないので、120だと16コマ。少ないようでちょうどいい。
入手した当時、ブレなのかピンボケなのか、鮮明でないコマが見受けられましたが、今から考えるとISO100で絞りが開き気味のときに、合焦距離を確認せずに撮ってピンボケになったり、シャッター速度が遅くなったことによる手ブレだったり、ということだったんじゃないかと思います。ISO400のフィルムで、合焦距離をきちんと確認するようになってからは、いい感じです。