メニュー表示

6.散歩写真の楽しみ8.単焦点レンズの愉しみ


I'm Gonna Go for a Walk.(以下IGGWと記す)という散歩写真を掲載したサイトを運営しているのですが、なんだかインパクトに欠けると以前から思っていました。


まず、このサイトの開設理由から考えてみましょう。これは単純で、撮った写真を公開したいと思ったからです。自分ひとりでせっせと撮るのもいいですが、公開すれば反響があるかも知れないし、もしあればモチベーションを高めることに繋がる。また、他人に見せることを前提に撮るようになれば、写真の腕も上がるかも知れない。こう考えたのです。

しかしながら、ただ撮った写真をリサイズしてHTMLファイルに貼り付けて、それをアップすればいいか、というとそんなことはありません。ある種の狙いというかコンセプトのようなものが必要でしょう。


実はコンセプトの必要性に気付いたのは、写真を公開してから約1年後の今年(2001年)の秋のことです。それまでは場所ごとに写真をアップしていただけで、場所についての説明じみた文章を付加したのも、写真だけだと寂しい、という理由でしかありませんでした。しかし、テキストと写真を分離し、別サイトとして作り変えようとした時に、確固たるコンセプトの必要性に気付いたのです。


まず考えたのは、私は写真があまり上手くないという事実です。まぁ写真を始めたのが2000年の5月ですから、現時点(2001年12月)で1年半くらいのキャリアです。上手いはずありません。そんなわけで、純粋に写真だけを見てもらう「ギャラリー」という形式は即座に却下しました。誰も見てくれないですから。

いろいろと考えているうちに、私にとっては写真を撮ることだけが楽しいのではなく、どこかの町なり寺社に出かけ、そこを自分の足で歩くことも楽しいのだということに思い至りました。私は写真を撮ることに負けず劣らず、感じのいい場所を散歩するのが好きなのです。


と、以上のようなことを考えてテキスト・セクションと写真セクションを分離し、独立したサイトとして立ち上げました。それでIGGWのAboutには、ばっちり「私にとって『散歩』と『写真』がほぼ同列にあるのです」と書いてあります。しかし、これはコンセプトでもなんでもなくて、単なる分析です。そのせいで、サイトのことにあまり言及しない訳の分からないAboutになっているのです。


それではいけないということに気付いたのが、2001年12月8日の真夜中近くで、今こうして文章を書いているのです。

そしてやっと「見た人が『ここを散歩したいな』と思うようなサイト」、略してを「散歩したくなるサイト」をコンセプトとして据えることが決定致しました。

何か画期的で深遠なコンセプトを期待していた人には悪いとは思うのですが、この程度の、誰でも思い付くような、しかもコロンブスの卵的ですらないコンセプトに落ち着きました。


そこでまた思考を開始します。そういうサイトには何かが必要か。

写真はやはり必要でしょう。写真を公開するのが第一の目的なので、それは外せません。しかし、写真だけで訪れた場所の魅力を語ることができないのもまた事実です。そうなるとやはり文章も必要です。

しかし問題なのも文書で、現在のそれは全く面白くない上に写真との関連が皆無です。要するに「写真もあるし文章もあるけど、それとこれとは別のものですよ」というフォーマットになってしまっています。文章は写真を説明しないし、写真は文章の補強になっていないのです。

それは文章が解説書の受け売りとちょっとした感想という、労力も能力も必要のないものだからだと考えます。そうだとすれば、IGGWを「散歩したくなるサイト」とするために必要とされているのは、「綿密な下調べを下地とした簡潔な解説と興味深いエピソード、そしてその場所の印象を織り交ぜたものを流麗な文章で綴ったエッセイ」ではないでしょうか。

もちろん、そんな文章を楽々と書ければ文筆で喰っていけるわけですから、それは無理というものでしょう。しかし、写真よりは文章の方がキャリアは長いので、それを理想として掲げながら、読みやすくて興味を引く文章を書こうと考えています。

もちろん、それの実現するには、下調べと推敲という面倒な過程が必要となるわけですが、趣味については目標を高くすればするほど楽しいものなので、いっちょやってやろうと思っています。

まずは奈良町なんかがいいのではないかな。


そしてこれを機にサイト・デザインも見やすく変更しようと思っています。黒っぽい背景に白い文字というのは、文章を読むのには適しませんから。

これが実現すれば、やっといっぱしの写真サイトになるのではないか、と期待しています。


2001年12月12日