Nikon F60D
2024年5月4日、銀座の清水商会で購入。5,280円。昨年のEOS-1 HSに続き、また旅行中に購入。旅行中に中古カメラ屋さんに寄りたいな、とは思っていましたが、訪れたのも偶然、F60Dを見つけたのも、買ったのも偶然です。まさに出会った感じです。
初日の5月3日に秋葉原で乗り換える予定だったので、2nd BASEに寄りたいな、と考えていました。Nikon Dfを持ってきたので、安いNikkor Auto世代のレンズがあればいいな、という気持ちもあって。ただ、東京駅からタクシーで直接ホテルに行くことにしたので、予定が変わり、初日は縁がありませんでした。
2日目は昼前から銀座に行くことになり、昼食をとったお店からレモン社の銀座教会店が近かったので、寄ってみようと思い立ちました。その途中で発見したのが、清水商会です。最初は店内に入る気はなくて、ウィンドウに並んでいるカメラとレンズをチェックしよう、という気持ちだけでした。妻も向かいのFEILERを見たいというので、ちょうどいいな、と。
そこで見つけたのがNikon F60D PANORAMA(以下Nikon F60D)です。
マニュアルフォーカス時代のNikonとは、多少縁があります。Nikomat FTNとNikon Fを使っていますし、もともとは最初に自分で買ったフィルムカメラはNew FM2です。レンズも何本か持っています。とはいえ、オートフォーカス・フィルムカメラ時代のNikonとは無縁でした。F80がまだ新品で買えた頃に、店頭で触ったことはありますが、当時は金属製でマニュアルフォーカスのカメラが欲しかったこともあって、興味の対象ではありませんでした。
古いレンズをデジタルでも撮りたい、という気持ちからNikon Dfを手に入れ、購入時についたポイントでオートフォーカス用レンズを入手してから、オートフォーカス・フィルムカメラ時代のNikonにも興味が湧きました。
ニコン最初の実用的なオートフォーカス一眼レフはF-501だと思います。F3AFという機種もありましたが、試作品的な印象が強い。そのF-501はわりと好きな形です。巻き上げはモーターなのに、巻き戻しは手動で、デザインも角ばったマニュアルフォーカス時代のものを踏襲していて、過渡的な感じが悪くない。でも、オートフォーカスの性能が…というのをよく見ます。とはいえ、ファインダー倍率が高めでスクリーンも標準がスプリットマイクロなので、マニュアルフォーカスで調整すればいいのかな、という気もします。でもそうなるとワインダー内蔵でマニュアルフォーカス専用のF-301でいいんじゃないか、形は似ているし。
その後、F-401という普及機、そしてF-801という高級機が出て、F4を挟み、F-601という中級機が発売されます。F-801S、F-401Xというマイナーチェンジ版に切り替わり、次の世代はF90、F70、F50です。F90はマイナーチェンジでF90Xになりますが、まあ松竹梅3モデル構成。そしてF5。F60、F100、F80にモデルチェンジされます。その後はNikon U、Us、U2で最後にF6。F-501の発売が1986年で、F6が2004年です。意外と短い。ちなみにデジタル一眼レフであるD1は、F100とF80の間である1999年に発売されています。
操作性とデザインから考えて、F80がよさそうだと思います。もちろん、F100も魅力的ですが、ちょっと大きく重いかな。この2機種はグリップ部の加水分解が持病のようです。グリップのベタつき処理は避けられないようで、そこがネック。F60はグリップの材質が違うのか、あまりベタつきは聞かない気がします。また、普及機ではあるけれど、ペンタプリズムと金属製マウント、金属製フィルムレールを採用した機種で、好印象です。
そんな中でF60Dを見つけました。実際に触らせてもらうと、まあ綺麗。軽すぎず、質感高めだな、と思いました。ちょうど持っていた50mm F1.4(オートフォーカス)を取り付けてみたところ、測距点は中央1点のみ。EOS 650もEOS-1も1点ですが、そんなに困らないので、まあいいでしょう。ミラーは汚れていますが傷はなさそう。ファインダーにもゴミがありますが、目立つものはミラーボックス内なので取り除けそうです。あと、ボディの色もいい感じです。ブラックもありますが、シャンパンゴールドのような明るい色が珍しい。
委託品なので保証なしですが、電池も入っているようです。5,280円だったらいいな、と思って購入しました。早速使い始めようかとも思いましたが、Nikon Dfとの2台持ちはさすがに厳しいので、また日を改めて。
帰宅後、全体的に清掃しました。ミラーはレンズクリーニング用のペーパーと無水アルコールで拭くとすっきりしました。また、ミラーボックス内もブロアーで埃を飛ばすと、ファインダーのゴミはほとんど気にならなくなりました。手をかけていくと、少しずつ自分のものになっていくというか、愛着が湧いてきます。
ふと、ネットで調べてみると、キタムラのサイトなどでは、良品でも3000円台半ば、並品であれば2000円台で買えるみたいです。少しショックではありますが、まあキタムラは送料550円がかかりますし、電池は別売りなので、そんなに大きな差ではありません。それに、実際に触って確かめた、というのが大きい。
いろいろと調べていて、CPU内蔵レンズ以外は露出計が動作しないが、フォーカスエイドは使える、ということらしいので、手元にあるAi化されていない35mm F2を取り付けてみました。硬くてグイッと回したら、嫌な音がしました。それでファインダーを覗いてみると、露出系は作動していませんが、フォーカスエイドはちゃんと機能しています。ただまあ、このファインダーでマニュアルフォーカスは厳しいですね。納得して取り外し、もともと付けていてた50mm F1.4(オートフォーカス)に戻したら、最小絞りに設定していないというエラー表示。あれ、最小絞りでロックしていたはずなんだけど、と調べてみると、ボディの最小絞り設定警告レバーがグラグラになっています。ピンセットで触ってみると、ポロリと外れました。折れている。あの嫌な音はこれが原因だったのか、と思い至りますが、後悔先に立たず。
常時稼働する箇所ではなく、レンズ側の突起を受けて押されているだけなので、接着剤で貼り付ければ何とかいけるかもしれない。手元にある最も強力な接着剤で固定し、週末にはフィルムを一本撮影はできました。