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13.「散歩」とその周辺の話15.21世紀初頭におけるペンEEシリーズの存在意義


以前から散歩旅行をしたいと思いながら一向に実現しないんですけど、いろいろと考えるのは好きです。散歩しながら写真を撮るにはどういう町がいいか、という目的地の問題はもちろん、どのカメラとレンズを持っていけば効率的な散歩と撮影が可能か、というのも魅力的なテーマです。


近場を散歩するときはカメラ1台、レンズ1本というのが基本です。だいたい私は、散歩と写真とが半々くらいの重さですから、散歩の楽しさを妨げる重い荷物を持ちたくないですし、レンズを交換しながら写真を撮るなどという面倒なことはしたくありません。こういうのは考えようで、手持ちのレンズで撮れない被写体は撮ろうとしなければ、1本のレンズでも充分撮影を楽しめます。

とはいえ、こういう撮影スタイルで問題がないのは、近くて何度も行ける場所だからです。気に入った町はサイトで紹介したいと思っていますから、最終的にはそれなりの数の「使える」写真を撮らなければなりませんが、近いところであれば何度でも行けますから、一度の散歩だけで必要となる数の写真を撮る必要はありません。写真のことはあまり気にせず、気になる画角を押さえておいて、足りないと思えばまた行く、というわけですね。


すなわち、必然的に遠出になる旅行ではこうはいかない。何度も行こうと思えば行けるわけですけど、時間的、コスト的な事情で、よほど気に入らない限り一度きりになってしまうことがほとんどでしょう。楽しく散歩をしたい一方で、写真のこともわりと気にかけてできるだけ多く、いい画角を捉えておきたくなります。

しかしながら写真がメインになってしまうと旅行が面白くないんですよね。実用性重視、写真優先ならAF一眼レフに広角から望遠までカヴァーするズーム・レンズか、MF一眼レフでも交換レンズを何本か持てばいいだけの話ですけど、そんなの全然楽しくないです。仕事じゃないんだから。その町を歩いてじっくりと見て、ちょこちょこ買い物などをしつつ、おいしいものも食べたい。結果としてわりと距離を歩くことになるでしょうし、手ぶらのままではいられません。

そこで冒頭の「どのカメラとレンズを持っていけば効率的な散歩と撮影が可能か」というテーマについて考える必要が生じるわけです。


と、ここまで書いて一年くらい進まないままにハードディスクに保存してありました。というのは、結論がないから。やはり、文章を書くにあたってテーマを設定したからには私なりの結論が必要ですが、いろいろと考えてもそれが出てこない。

2002年の末に東京に行きまして、そのときはペンタックスMXと35mmレンズを持って行きました。というのも、当時はそれが一番軽い組み合わせだったからです。レンズは28mmと50mmの2本がベストだと思ったんですが、それでは重いので1本に絞りました。28mmでは広角すぎるし50mmでは狭すぎるので間をとって35mmにしたわけです。ただ、これはちょっと中途半端すぎまして、使い慣れない画角で撮りにくかったことを覚えています。それはともかく、ペンタックスMXのような小型軽量の一眼レフといえども、わりとかさ張って重いんですよね。バッグをほとんどひとつ占有しますし、軽いと言っても700gくらいはある。

要するに最小のシステムでも邪魔であることが分かってしまった。コンパクト・カメラは一時所有していましたが、作りも写りも気に入らないわけですからそんなものを持って旅行はできない。新しいカメラを買うのもどうか。というわけで、どうしようもない。


それがいろいろと経緯があってハーフサイズのカメラを手にしたところ、その小ささ、軽さ、そして写りの確実さに「旅行にはこれしかない」と感じました。私のようにプリントせず、ライトボックス上で見て、プロジェクターでスクリーンに映写し、スキャナでPCに取り込む、という鑑賞の仕方であれば、ハーフでも全然問題はありません。中判の大画面も魅力的ではありますが、実際問題としてそこまで必要か、と問われれば、否と答えることになります。

それにフィルムが135である、というのも魅力的なところです。135のリバーサルならある程度の規模の町であれば大抵のところで手に入ります。それに倍撮れるわけですから、あまりコマ数を撮らない私の場合、36EXを入れておけばある程度はもちます。1日うろうろしても、36EXが3本くらいあれば事足りるでしょう。

手軽さという意味ではペンEE-3がいいと思います。リバーサルでもわりとちゃんと撮れます。確実性を求めるならペンSですが、これは露出計が入っていないので露出計を持ち歩く必要があり、結果としてちょっとかさ張ります。私が持っているスタジオデラックスはわりと大きくて重いので。とはいえ、露出計を簡単に取り出せるケースがあれば解決する問題ではあります。


ペンのいいところは、前述のように小さく、軽く、写りが確実であるのに加えて、趣味的である、というのもあります。散歩も楽しく撮影も楽しく、というのがベストですから、使っていて楽しいカメラがやはり嬉しい。その点ペンはいいですね。

ペンを持って、尾道とか、郡上八幡とか、横浜とかに行きたいな。


2004年3月30日