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4.標準レンズ6.散歩写真の楽しみ


私が写真を撮りに行く時の持ち物と服装を紹介したいと思います。誰かと比較することによって、効率的な持ち物と服装を検証しようとか、そういうことではなくて、ただの紹介です。


「写真を撮りに行く」という表現を使いましたが、街を歩きながら、面白そうなところ、綺麗なところを撮るというのがその実際です。ですから、街を歩くことも「写真を撮りに行く」という行為に含まれますし、私にとってはどちらもともに重要なのです。ですから、「必要最小限」をコンセプトに持ちものを決めています。可能性を考えると、三脚から予備のカメラまで持たないといけなくなって、それを持って歩くだけで苦痛になるので、基本的なものしか持たないでおこう、ということです。


まずカメラですが、1台しか持ちません。ペンタックスMXかニコンNewFM2のどちらか、ということです。プロではないので、予備はいりませんし、何にしてもカメラ・ボディを2つも持つと重いですから。

そして、レンズは大抵28mm1本です。ただ、これから「こう撮りたい」という欲求が増えていくと思うので、2本以上持っていく機会が増えるとは思いますが、できるだけ少ない本数でこなしたいとは思っています。ズーム・レンズを使えばいいんじゃないかと思う人もいるでしょうが、私はあれが嫌いなのです。あまり明るくないし、MFのものはデザインがよくない。それに大きく重い。そして決定的なのがスタイルとして恰好よくないという点です。スタイルがどうでも写真が撮れたらそれでいいんだ、というわけではないのです。

そしてフィルムはボディ内の1本と、予備に1本。どちらも24枚撮りのネガ・フィルムです。36枚撮りの方が1枚の単価は安いのでしょうが、私にとって36枚は少し多いのです。大抵は24枚で充分で、わりと見所の多いところだと48枚撮る、というのがパターンのようです。ネガなのは、ディジタル化しやすいから。フジカラーCDというサーヴィスはリバーサル・フィルムの場合、1コマ80円くらいかかり、すごく高いのです。それに、厳密な露出をするのが手間だというのもあります。ネガだと多少露出を外してもプリントできますから。私はひとつのことが気になると、他のことに気が回らないタイプなので、やはり被写体に集中できるように、露出に関しては少しまけてもらおうということです。ISOは400がメイン。大抵はパンフォーカスにするために絞り込んで撮りますし、たまに室内を撮ることがあるので、400が使いやすいのです。

そして小物ですが、まずペンとメモ帳。これは基本的に、行ったところの名称やちょっとした説明をメモするために使います。これがないと、あとでWebサイトにギャラリーとしてアップする時に、どこに行ったか分からなくて困ってしまいます。また、その時に思ったことをちょっと書き込んだりもします。メモ帳は無印良品で売っている「ダブルリングメモ A7サイズ・40枚・ベージュ」というヤツです。表紙がしっかりとしたクラフト紙で書きやすいのと90円と安いのが魅力です。ペンは「スタイペン」というメイカーの液状インクのボールペンです。筆圧がほとんどいらないので、台がなくても書きやすいのです。

あとは、カメラ系の小物です。保護フィルターについた指紋などの汚れを取るためのペン式のクリーナーと、埃を飛ばすためのブロワー。それとボディを拭くためのクロス。これは眼鏡用を流用しています。そして雨が降った時にカメラを守るためのビニル袋。これはまだ使ったことがありませんが、一応。そして最後にティッシュ。まぁこれは、あったら便利だし重くないから持っておこうということですね。


これらを入れるのは、最近購入したカメラ・リュックです。ニコンのキャンバス生地の小さいヤツで、わりとカメラ用っぽくないのがお気に入りです。カメラ・ボディとレンズはショックを吸収する材質で出来た本体に入れ、小物類は前と左右のポケットに分けて入れます。これで多少のショックが加わっても、カメラとレンズが壊れる心配はありません。


服装については、まぁなんでもいいわけではなくて、私の美意識の範囲内で選ぶわけですが、その辺はこの文章とは関係ないので割愛します。ただ、写真を撮りに行く時に気にしていることは、必ず襟のあるシャツを着るということです。というのは、私はカメラのストラップを首から掛けるので、襟がないものだと素肌が露出している首に当たって気持ち悪いですし、ストラップに汗が染み込んで嫌なのです。それで夏は大抵、そういうシャツを着て、短パンにスニーカーで出かけます。涼しいのが一番ですし、そうハードな行程ではないので、軽装でいいのです。

2001年8月23日



先の文章は写真を撮り始めてから1年、フィルム・カメラを使い始めてから3ヶ月くらい経過したときに書いたものです。それから4年弱。写真の腕に関しては成長が見られないのが不甲斐ないところではありますが、あるいは撮影スタイルについても当時の方が軽快だったんじゃないかという気もします。

しかしながら、町を歩きながら気になる画角をポツポツとおさえていくスタイルと、それゆえの必要最低限の装備は今でも私の基本姿勢であることに変わりありません。


最も変化したところは使うフィルムです。当時はネガカラーを使っていましたが、2003年3月にカラーリバーサルに替えました。理由は3点。色が綺麗で、設定した露出が確実に反映される。そしてプリントは必ずしも必要ではない。

リバーサルはネガカラーのように、プリント時に補正できないので、撮影時にきっちりと露出を設定する必要があり、そのためには経験がものを言います。ネガカラーの場合はひどい逆光以外、露出計の指示通りに撮れば問題ありませんが、リバーサルに正しい(すなわち撮影者の意図する)露出を与えたい場合、露出計の指示値は参考にしかならず、そこからどれくらい明るくするか暗くするかは経験だけが頼りなのです。

そんなわけで、自分が設定した露出値をメモする用紙(LINK:135フルサイズ用。他にハーフ用、ブローニー用などあり)を作成し携行することにしました。現像されたフィルムとつき合わせれば、どういうミスを犯しているかがすぐに分かり、漫然と撮るよりも少ない経験で露出に対する勘を磨けるだろう、と思いまして。

このメモを持つようになったので、メモ帳は持たなくなりました。余白にメモすることができますし、だいたい露出値と場所の情報を分けて書くのでは撮影中の作業として煩雑にすぎます。

勘は磨けど、やはり不安なことがあります。この露出でいいのか、と。その場合は迷わず露出を変えて撮る。手動段階露出。そのためにフィルムの消費量も若干増え、以前は24EX2本であったものが、最近は36EX2本が基本です。ISO感度は100。リバーサルはそれが標準で一番安いので。暗いところを撮る場合にはF値の小さいレンズを持つか、ISO400のものを予め用意しておきます。


露出計内蔵でないカメラを入手してからは、単体露出計を持つ必要も生じました。また、内蔵の露出計があまり信用できなかったり、使い勝手が悪いカメラを携行する場合にも持ちます。


ボディ1台にレンズ1本というスタイルは変わりません。

変化したのはレンズの焦点距離で、28mm一本槍ではなくなり、町の構造や撮りたい対象によって替えるようになりました。例えば路地の狭い古い町並みでは引きがないので広角を選ぶ、町のディティールを狙いたいときには標準レンズを持ち出す、ということです。今のところ、28mmと標準が半々くらいだと思います。そしてたまに35mm、ごくたまにズームレンズ。

ただ、最近はフィルム・カメラと別にデジカメを持つことがあります。その日撮った写真をその日の日記に載せられるのが最大の魅力です。また光線の状態によっては(と但し書きがつくところが曲者なんですけど)フィルムと遜色ない画質で撮れることもあり、軽いのでポケットに入れておけますから、デジカメを持って得るものはあっても、失うものはほとんどない。


カメラ用小物はほとんどカット。構造上ファインダーに指紋が付きやすいカメラ(GA645iなど)を持つときには眼鏡用クロスを持ち、雨が来そうなときにはビニル袋を持ちますが、それ以外はティッシュだけで対応します。


カメラ・バッグも変わりまして、肩からたすきにかけられるものを愛用しています。中には手製のインナーケースを入れています。

そのインナーケースは前掲のリンク末尾に書いた「90×70mmのカメラを入れるスペースを中心に、その左右に70×70mmのレンズおよび小物を入れるスペースのある」ものと、もうひとつ80×50mmのスペースがふたつでかつ緩衝材も薄くした小さいものとを使い分け、それに合わせてバッグもいくつか購入しました。カメラ・バッグではなく普通のヤツです。必要なサイズのインナーケースさえ用意すれば、外側は何でもいいわけですから。


服装は相変わらずです。露出記録用紙とペンを入れられるので胸ポケットがある服が好きです。冬場はポケットが多い上着がいい。あと、夏場はハンドタオル必携です。

それから当然ですけど、財布と携帯は必要です。お金がないと電車に乗れません。携帯は今となってはないと不安ですから。


まとめると、まず首からカメラを提げる。レンズはそこに付けてある1本のみ。そしてカメラに通したものの他に予備のフィルム1本をバッグに。そのバッグにはキャップ類と財布、携帯、ティッシュ(ある場合にはカメラ用クロスとビニル袋)も入っている。

胸ポケットには露出記録用紙とペン。また、場合によってはズボンまたは上着のポケットに露出計とデジカメ。ズボンの前ポケットにはタオルと小銭入れ。

冬場は上着があるのでいいですが、夏になって胸ポケットのない服を着ると、ズボンにしかポケットがないわけで、左右のポケットに露出計、デジカメ、露出記録用紙、ペンそしてタオルまで入れる(小銭入れはやむなくバッグに入れる。後ろポケットは出しにくいので頻繁に出し入れするものは入れない)はめになって、目的のものをスムーズに取り出せず大変に困ることがあります。

カメラマン・ヴェストなんて着る気がしないし、私に必要なのは恰好よくて収納力のある服装かも知れないなあ。この夏はポケットがたくさんあるズボンでも穿こうかな。

2005年6月17日