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5.写真を撮る時7.写真サイトのリニューアルについて


写真を撮るようになって1年半になるが、カメラを持って散歩するのは楽しい。もともと夏が大嫌いな私ではあるが、カメラを持って散歩するようになってからは、真夏に汗をダラダラかきながら歩くのもまた楽しいと思えるようになった。真夏に大学に行くのは、比較対照がないくらいに嫌だが。


歩くことの楽しさを知ったのは、たぶん高校時代だ。私が所属していた高校には「百粁徒歩」という、約80kmを朝から翌日の昼までかけて歩く、酔狂な行事があった。私は友人の誘いでその行事の実行委員のようなことをしていたのだが、高校の方針として行事は生徒が作り上げることになっていたので、歩くコースも我々が決定しないといけない。そのために「下見」と称して、安全性や景色などを確認しつつ、候補となるコースを土日に歩くのである。これがスポーツの経験のない私にはきつかった。何といっても、1日朝から夕方まで歩く。少なくとも20kmは歩いていたと思う。それを高校2年の9月に始めた。行事の本番が3月なので、結局半年間続けたことになる。

最初は下見なんて全然楽しくないのだが、時間が経つにつれて楽しくなってきた。古い神社やお寺がある古道や、整備された遊歩道、そしてそれらを繋ぐ古い町並みの住宅街などを「下見」していたのだが、足からの刺激とのどかな風景、そして比較的綺麗な空気と友人との会話が、ある種の脳内物質の分泌を促すのかも知れない。もしくは、「百粁徒歩」という行事を作り上げるのだという情熱があって、隣には目的を一にした仲間がいて、彼らとともに行動できるという心地よさが、あまり好きでなかった「歩く」という行為さえも、心地よいものにしたのかも知れない。何にしても、百粁徒歩が終わったあとには、歩くことが大好きな身体になっていた。


しかし、高校3年になると、受験勉強が始まり(といっても私は浪人生になって初めて勉強したが)歩く機会がなくなった。浪人になるとなおさらである。私が積極的に歩くようになったのは、大学に入り、デジカメを買ったころからである。具体的には2000年5月のことだが、実はデジカメの使い道は考えていなかったのだ。ただ欲しいから買った。でも、買ったまま放っておくのはもったいないので、使うことを考えるわけである。考えてみると前から歩くのは好きだったし、そのころから奈良近辺を歩くようになっていた(理由は失念した)ので、そのときに携行していくことにした。


すると、これがわりと面白い。思いのほか、写真を撮るのは面白いのである。これも理由は分からないのだが、時間という連続性の中にあり、永遠に再現することのできないシーンを、二次元ではあるにせよ定着させたいと思ったのかも知れないし、どうせ写真をとるのなら、もっと上手く綺麗に撮りたいという気持ちになったのかも知れないが、どんどんと写真、延いてはカメラにのめりこむことになった。デジカメをもう1台購入し、その後に父からフィルム・カメラを譲り受けたのを機にデジカメを捨て、フィルム・カメラに移行することになるわけだが、その詳細について「カメラ系エッセイ」に書いたので割愛する。


また、このWebサイトを作るようになったのも、元はといえば撮った写真を公開したいと思ったからである。ただ撮るだけでは面白みがないので、何か人目に晒そうと考えたのである。そうすれば、写真を撮るときの励みにもなる。

そして、写真サイトをMF SLR Enthusiastから分離したのを機に、自分の写真をカテゴライズするとしたら、どうなるだろうな、と考えた結果、「散歩写真」が一番会っていることに気付いた。何かを表現するために撮っているわけではないし、散歩したコースを説明するためだけに撮っているわけでもない。自分が気になる画角を散歩のおりに撮っているだけのことだからである。だから、I'm Gonna Go for a Walk.というタイトルにした。


そして最近、この散歩写真が楽しい。夏でもいいが、やはり涼しくなると歩ける距離も長くなるし、暑さに気を取られないから、歩くことと、周りの風景を見るここと、写真を撮ることにより気を回すことができるようになる。

9月の下旬に行った当麻寺と夙川沿いの道はよかった。わりと涼しくて気持ちよく晴れた日で、当麻寺にしても夙川沿いにしてもすごく小綺麗だった。そこをカメラを持って、何をするともなく歩くというのは、本当に幸せなことであると思う。


私が好きな場所というのは、まず人が少ないことが条件である。だから、あまりメジャーなところは駄目。紅葉の時期の談山神社に行ったことがあるが、人が多くてゆっくり歩くこともできない。写真なんかを撮っていると、自分が人の通行を邪魔しているのが分かるから、落ち着いて撮れない。私としてはマイナーに葛城古道なんかがいいと思っている。

秋冬は好きな季節なので、私としてはどんどん歩いて、どんどん写真を撮りたいと思う。その次の春は花粉症があるので苦手である。

2001年10月6日