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4.コンパクト・カメラが欲しい6.ペンタックスSシリーズ


中判カメラというのは35mmフィルム(幅35mm)よりも面積の広いブローニーフィルム(幅60mm)を使うカメラのことを言います。使うフィルムは同じでも、カメラによって6×4.5、6×6、6×7、6×9などのフォーマットがあります。一番小さい6×4.5でも35mmフルサイズの約2.7倍の面積を有します(下図参照)。

画面サイズ比較

同じ性能のフィルムを使って同じ被写体を撮る場合、画面サイズが大きいほど細部まで克明に描写されますから、中判カメラは高画質を要求される場合に有利です。

しかし、私は特に35mmフィルムの画質に不満を感じているわけではないですし、引き伸ばしてプリントする気もありません。私にとっての魅力はその画面サイズ自体にあります。


ネガカラーはプリントしてもらうのが一般的で、マイナーな中判フィルムは現像(街の現像屋さんでは対応してくれないことが多い)もプリントも高いので意味がありませんが、リバーサル・フィルムで撮ると、現像されたフィルムそのものをライトボックス上に載せて鑑賞しますから、面積が大きいとそれだけ迫力があります。

35mm判ではルーペがないと細部は分からないので、できればもっと大きい画面サイズで撮ってみたいと思います。「もっと大きい画面サイズで撮れるカメラ」こそが中判カメラです。


ひとくちに中判カメラといってもいろいろあります。

35mmで愛用している一眼レフですが、中判になるとミラーとプリズムが大型にならざるを得ず、大きく重く、ミラーショックも強くなりますから、三脚がないと厳しいものがあります。できるだけ持ちやすいものに高感度のフィルムを通せば手持ちでも何とかなるでしょうが、大きく重いことに変わりはないので、ちょっと私の用途には向きません。

結局、できるだけ軽くて手持ちで撮影できる中判カメラこそが私に相応しい、という結論に達します。となるとレンジファインダー形式しかないのです。レンジファインダー・カメラは三角測量の原理を応用して被写体にピントを合わせる方式のカメラのことで、35mm判で有名なのがライカです。これは一眼レフのように大きなミラーやプリズムが不要ですから、小さく軽くすることが可能で、かつレンズ・シャッターにすればショックも軽減されます。


具体的な機種としてブロニカRF645とマミヤ7IIがあります。前者が645で後者は67判です。どちらもマニュアルフォーカス(MF)でフィルム巻き上げも手動です。またレンズ交換が可能で、レンジファインダーの特性をいかして高性能な交換レンズが用意されています。

フジフイルムのGA645Zi(645判)ですが、これはオートフォーカス(AF)のズームレンズ搭載(交換は不可)で、かつフィルム巻上げも自動(中判は機構的に巻戻しは不要)という、言ってしまえば35mmコンパクト・カメラのような中判カメラです。

GA645Ziはすごく便利そうですが、ズームレンズがいささか暗い。広角側でF4.5は許容範囲ですが、望遠側のF6.9というのはちょっと暗すぎます。ちょっと暗くなるとブレて撮れなくなりそうです。また、私はAFをあまり信用していません。必ず外すシーンがありますから。サブカメラならまだしも、メインになりえるカメラがAFというのはちょっと嫌です。

そうなるとブロニカRF645かマミヤ7IIか、です。重さもサイズも変わらないので画面サイズの大きいマミヤ7IIがいいんじゃないかと思います。それに交換レンズもブロニカRF645が3本なのに対して、マミヤ7IIは6本あるので、そういう意味の楽しさもあります。また、前モデルのマミヤ7が中古市場では同7IIより随分安く出回っているのも魅力のひとつです。

ただ、使うフィルムは同じなので画面サイズが大きいほど1本のフィルムで撮れる枚数は少なくなります。ブローニーフィルムには一般的な120と倍の長さの220というふたつの規格があるのですが、67の場合前者で10枚、後者で20枚しか撮れません。中判カメラなのでバシバシとシャッターを押すことはないと思いますが、20枚というのはどうも少なすぎます。645ならば120で16枚、220なら32枚と35mmとあまり変わりません。

まだどれを買うべきか決まらないのですが、どうせ決めたところで買うお金がありません。自分の撮影スタイルを考えながら、また35mm判でリバーサル・フィルムを試したりしながら、どれを買うべきか、あるいは中判カメラを買う必要が本当にあるのか、というあたりにまで立ち返りながら、検討していきたいと思っています。

2002年5月29日
加筆:2006年2月10日



中判カメラを買いました。レンジファインダーじゃなくて二眼レフです。ただ、中判カメラとして二眼レフを買ったわけではなくて、二眼レフが欲しくて買って、よく考えたら中判カメラだった、というのが実際のところです。


私はフィルム・カメラを3台持っていますが、全てマニュアル・フォーカス、マニュアル露出という仕様の35mm一眼レフです。しかもすべてがコンパクトさを売りにしているカメラで、はっきり言って「似たような」カメラです。基本的にこの形式のカメラが好きなんですけど、そればっかり使っているとやはり飽きます。それでコンパクト・カメラを買ったり、デジカメを買ったりしたわけですが、どちらもマニュアル一眼レフに比肩しうるものではありませんでした。

どこがいけないのかと考えるに、撮影するときの緊張感ではないかと思います。だいたい、緊張感のない人間であることがいけないのですが、デジカメなんかを使うと、テキトーに撮ってしまうんですよね。基本的にシャッターを押せば撮れる上に、LCDで撮った画像を確認できるし、失敗したと思ったら消去すればいい。これがいけない。ダラダラと面白くない写真(まぁ私の場合「面白い写真」といってもたかが知れてますが)を量産することになってしまうのです。


そこで目をつけたのが二眼レフです。マニュアル一眼レフより不便だけど、とことん不便ではない。ファインダーは今まで見たことのないウエスト・レヴェルで左右逆像。これは写真を撮るスタイルが完全に変わることを意味します。首からカメラをかけて、下を向きながら正面の被写体を撮るわけですから、ダラダラ写真を撮れるわけがない。

そして、フィルム・フォーマットは正方形。ここに一番興味があります。どんな写真を撮ったらいいんだろう、と今から考えても楽しみです。使いこなせない可能性はありますけどね。

二眼レフの存在自体は前から知っていました。そして少し興味はあったんですが、無知な私は二眼レフといえばローライフレックスしか知らず、そうなると10万円は必要ですから、買う買わないの問題以前のところで二眼レフには深入りせずにいたわけです。でも、ある雑誌で魅力的な国産二眼レフの存在を知り、調べてみたら、2万円台で実用的なものが買えます。何だ、私でも買える値段であるじゃないか。

YASHICA Mat-124G

候補として挙がったのが、国産最後の二眼レフ、ヤシカマット124Gです。そんなに評価の高いカメラではないことは確かですが、それはおそらくローライとの比較して「評価されない」だけで、写真が撮れないわけではないですし、作例を見る限りでは納得できる描写でした。しかも、さりげなく露出計内蔵。カメラだけ買っても、いちおうリバーサルで撮れる。

他にもミノルタオートコードや、現在も生産されている中国製の二眼レフ「海鴎」といった候補もあったのですが、前者は人気があって高価ですし、後者は安いのですが、信頼性に難ありそうで、ヤシカマット124Gの優位は揺るがず、購入することにしました。Webサイトを見ると3万円以下で買っている人がほとんどのようなので、私もそのあたりを目標にしました。


ちょうど梅田の大丸で「中古カメラフェア」が開催されており、そこでいろいろと比較して購入しようと目論んでいたのですが、ヤシカマット124Gは一台しかなく、しかも3万9000円と高価だったのでパスし、近くにある中古屋さんを回ることにしました。3軒目の「クラシックカメラYaotomi」というお店にヤシカマット124Gが3台あったのですが、一番安いので3万8000円、高いものは4万4000円もします。ただ、綺麗なことは綺麗で、「もしかしたら綺麗なヤツは4万円前後なのかも」と思い、納得できる綺麗さで露出計も動作していて、保証もあるのならこのくらいの値段でもいいや、と決心して全部出してもらって比較しました。最終的には最も安かった、ケースなしだけどわりと綺麗なものを3万8000円で買いました。

ヤシカマット124Gに関しては、あるサイトの管理人さんも興味があって、「二眼レフてっ恰好いいですよね」とか「やっぱり欲しいですね」とやりとりしていまして、その人は2万5000円でレンズにくもりあり(問題はなさそうらしい)だけどケース付きのものを購入されたそうです。そんなわけで「探せばもっと安いのがあったかもな」と思うわけですが、6ヶ月保証だし、店員さんはいい感じだったし、まぁいいかな、と自分を納得させているところです。


それで先日、リバーサル・フィルムを詰めて神戸に試写に行きました。ピントは思ったより合わせやすいと感じました。私はだいたい屋外で遠景がメインだからかも知れません。近くてかつ暗いところだとルーペを使わないと苦しくなります。

それと左右逆像とウェスト・レヴェルには戸惑います。構図が左右逆になるため頭で反転させて撮る必要がありますし、水平を保つのに苦労しました。そのせいか2時間半くらい散歩して、120フィルム(12コマ撮れる)でちょうどでした。でも、使いたくなくなる不便さではないです。

だいたい露出計通りに撮ってみた結果としては、問題ない感じでした。背景が空で手前が日陰になっているところはアンダーになったり、暗い場所がオーヴァー気味になったりというのは、当然のことですから、適当に加減してやれば充分使えます。

中判カメラに関して他に比較対象がないので、35mm一眼レフと較べて、ということになりますが、中判の威力を感じさせてくれる描写でした。だいたいF8か11くらいに絞り込んで撮った結果では、甘さは全然なくてくっきり写っていました。私はくっきり写っていればいいや、というタイプなので。

高画質ですから、お気に入りの町をゆっくりと歩きながら撮るのにぴったりだと思います。

2003年3月24日
加筆:2006年2月10日


YASHICA Mat-124G

GA645i