Nikon Fを買った

2021年10月27日の夜、Nikon Fを注文し、29日着。マップカメラのハロウィンセールでシャッター速度調整済みの良品が39,800円から34,800円になっていたので購入を決意。

フィルムで写真を撮っていた2001年から2005年頃、New FM2を持っていたので「ニコンのFひと桁」には、淡い憧れを抱いてはいたように思います。当時はF3が生産中止になってすぐ、という頃で、AF一眼の最新機種はF5でした。AFカメラに興味ない私にとってF4、F5は「性能はすごそうだけど、重そうだな」と思うだけで、興味の対象だったのはF、F2、F3の3機種でした。

Nikon F + NIKKOR-O·C Auto 35mm F2

最初はF3に興味があったので「ニコンF3完全マニュアル」というムックを手に入れたところ、FとF2のことも書いてありました。それを読んだところ、実用的には露出計が入ったF3だけど、F2が一番バランスが良さそうだな、と思いました。昔から自動露出はとくに必要ないと思っていましたし、何よりF2は機械式シャッターでデザイン的にもまとまりがいいな、と。

ただ、購入を真剣に検討したり、欲しくて欲しくてたまらない、と思ったことはなかったように記憶しています。頻繁に中古カメラを見に行っていたので、店頭で目にする機会はあったはずですが、真剣にチェックした覚えがない。たぶん、高くて買えなかったのだと思います。

フィルムで写真を撮らなくなってから15年以上が過ぎた2021年、ふとしたきっかけでNikomat FTNでモノクロ写真を撮るようになりました

そんな中で、FとF2がちょっと気になる存在になってきました。

Nikomat FTNに不満はないのですが、「Fひと桁」とは一体どういうものなのか、という興味。風格ある恰好いいカメラに対する憧れ。

Nikomat FTNをオーバーホールしてもらった過程で知ったことですが、この2機種は機械式なので、まだ整備してもらえます。パーツを持っているところもあるようです。

あと何より、今は価格がとても手頃です。有名な機種とはいえ、今となっては、露出計のない一眼レフで写真を撮ろうという人が少ないのか、絶対的に古すぎるのか、Nikon Fなら1万円台から手に入ります。ちょっとこれは安すぎるんじゃないか。F2もそこまで安くはありませんが、手頃です。

実用的にはF2がよさそうではあります。裏蓋も実用的ですし、シャッターボタンの位置も普通です。1/2,000まであるシャッターも魅力的。価格的にはFより少し高いですが、そんなに大きく違うわけでもありません。でも、デザイン的にはFが恰好いいな、と思います。

古いカメラの問題は、どうやって程度のいい個体を探すか、ということです。Fが1959年、F2でも1971年の発売なので、50年以上経過しています。機械式なので、メンテナンスすれば使えるといっても、綺麗な方がいいし、整備済みなら、なお良い。

Web上の画像だけでは、実際の綺麗さや感触まではわかりませんから、「モルト張替え済み」、「整備済み」とか「オーバーホール済み」とか「キィートスでオーバーホール済み」といった説明を頼りに、どんなもんなのかな、と決めるわけでもなく、眺めていました。

そうした中で最も気になるのは、プリズムの腐食です。銀蒸着プリズムの蒸着面を、加水分解したモルトプレーンが侵食するそうで、安い個体にはだいたい「プリズム腐食あり」とか「ファインダー縦縞あり」という注記がされています。写真自体に影響はないとはいうものの、一眼レフで視野に影または欠落がある、というのは、ちょっと許容できないところです。だから安いわけですが。修理業者によっては再蒸着できるらしく、私も昔Canon FTb-Nでお願いしたことがあります。ただ、銀蒸着はほとんどなく、大抵はアルミである、という話もあり、再蒸着しても元通りとはいかないこともあるようです。

まあ何にしても、整備済みでファインダーがクリアな個体が手頃な価格であれば、やぶさかでない、とは考えていました。

Web上にはさまざまな中古カメラ屋さんがECサイトを構えていますが、私がよく見るのは八百富、マップカメラ、カメラのナニワです。どのサイトからも購入したことがあって、嫌な思いをしたことがないので信用しています。傾向としてナニワは安いけど古いカメラ・レンズは保証なしがほとんど、八百富は数が少ないけど、程度はよさそうで保証もしっかりしています。あとマップカメラは「整備」された個体が多いけど、その分高い。保証は新しいものだと長いですが、古いカメラは短めです。どのサイトにも玉数はそこそこあるようで、眺めはするものの、決断には至らず。

発売年次の古い、お手頃価格のカメラって、もし何かあった場合にそれに対処するだけの決意があるか、が問題です。「ものを所有するということは、それにまつわる厄介事を抱え込むことだ」というのは、どこで読んだのかは忘れましたが、私が痛感していることです。「所有したいと望むものにまつわる厄介事を抱え込む覚悟があるのか」という問いに「イエス」と即答できるのならば買えるし、そうでなければ買うには至らない。逡巡につぐ逡巡。

そんな中で、マップカメラのハロウィンセールでもともと39,800円のNikon Fが、34,800円になったタイミングがあり、詳細を見ると、シャッター速度調整済みで良品。プリズム腐食についてのコメントはなし。画像を見ると大きな傷や痛みはなく、綺麗。モルトプレーンを張り替えたとは書いていませんが、写真では傷んではないようです。シリアルは702万番台だから、1969年あたりの製造でわりと新しい。うむ。保証期間3ヶ月、初期不良対応1ヶ月だから、もし何かあったら対応してもらえる。うーん。高くはないけど安くもない。でも、一度は使ってみたいことは確かだし…。というわけで購入。

届いた現物を見ると、全体的に綺麗ですし、プリズムも問題なし。スクリーン上にゴミはありましたが、ファインダーを外してブロアーで吹き飛ばしたら綺麗になりました。ただ、シャッター幕に押されたようなシワがあります。サイト上に画像は、シワがない方(後幕?)が掲載されており、注記もなかったのが困ったところです。シャッター速度調整済みだから、幕速は出ているのでしょうが、そのあたりは試写しないと判りません。厄介事を抱え込むことになるのかもしれません。

11月3日に試し撮りして、週末に現像に出す予定です。さて、どうか。