Nikomat FTN

Nikomat FTN & NIKKOR-H Auto 50mm F2

2005年8月8日、ヤフオクで落札。NIKKOR-H Auto 50mm F2付きで6500円。

購入した理由のうちで最大のものは、ニコンの大きくて重めのレンズに見合う、がっしりどっしりとしたカメラが欲しかったから。特にAi Nikkor 50mm F1.2SをニコンEMに付けるとすごく不釣合いなんですよね。2004年10月にNewFM2を手放して以来、ずっと気になっていた問題で、NewFM2とデザインが同系列のFM、FEシリーズを買うのは面白くないし、F一桁は高いし、と考えている中で「そうだ、ニコマートがあるじゃないか」と8月に入ってから「発見」した次第です。

すぐネットで検索し、シリーズの概要を把握し、買うならFTNだな、とターゲットを絞った矢先にヤフオクでよさそうなものを見つけ、落札しました。

ニコマートの名を冠したカメラには機械式シャッターのFT系と電子制御シャッターで絞り優先AEが可能なEL系があり、このふたつを合わせて1965年から1977年までに8機種発売されています。私がその中でもFTN(1967年発売)を選んだ理由は簡単で、機能的に不足なく、操作性がよく、かつすっきりとしたデザインで、安いから。

操作性は先代のFTと比較して改善著しいものがあります。具体的には開放F値伝達方式と測光方式が変更されており、これでTTL露出計内蔵の一眼レフとしての操作性は格段に向上したと思います。またちょっと変わったところもあって、わりと面白い。デザインについてはご覧の通り、低くてシューがないペンタカバー、シャッターダイヤルのない妙にすっきりとした軍艦部が特徴です。まとまりがいいですね。また、外装にプラスティックをほとんど使っていないところも古風で好きです。価格は冒頭で書いた通りNIKKOR-H Auto 50mm F2が付いて6500円。中古カメラ屋さんではもっと高いですが、ヤフオクではこれくらいです。

マウント基部にシャッター速度設定ダイヤル

操作性において特徴的なのはシャッターダイヤルがマウント基部にある点。好き嫌いはあるでしょうが、シャッター速度がファインダー内に表示され、カメラを構えたままで変更できるので便利だと思います。

戸惑うのは巻き上げレバー関連の仕様。まず、予備角まで起こさないと露出計のスイッチが入らない。そして、露出計を作動させるべく予備角に起こした巻き上げレバーに指がかかって、少しでも予備角を越えるとシャッターをレリーズできないのも不便です。ただ、そういうもんだと体が覚えてしまえば、全く問題になりません。

少し使いにくいところもありますが、このカメラの何よりの魅力は「カニ爪があればどんなレンズでも露出計に連動する」という点です。マニュアルフォーカスのニッコール・レンズを使うボディとしては便利です。所期の目的も達しましたし、作りもがっしりとしていてまじめだし、いいカメラです。使いやすいけど風格のないカメラよりずっといい。

2021年におけるNikomat FTNについて

上の文章を書いたのは、カメラを入手してすぐだったと思います。それから16年。モルトプレーンくらいは自分で交換したのだったか、それをしなくていいくらいの程度のいい個体だったのか忘れましたが、2005年末頃には写真を撮っている場合じゃなくなったこともあって、記録上では5回くらいしか使っていないようです。その後は実家の防湿庫に置いたままにしていました。

最近増やしたこともあって、マニュアルフォーカスのニッコールレンズが9本もあるので、有効活用する手段を模索していました。もともとの画角で使いたい気持ちがあり、α7とかDfとかZ5を検討したこともありました。またEOS 5D MarkIIの購入に至る話も、最初はニッコールレンズを有効活用しよう、という気持ちから始まったのです。結局は物理的に取り付けられないレンズが多くて、EFマウントのレンズをいろいろと買って楽しむことになっていますが。

とはいえ、ニッコールレンズのことはずっと気になっています。買ったものは使いたいし、ヘリコイドがスカスカな個体は直したいし、カビっぽい個体もあるので、クリーニングできるものならしたい。

しかしながら、使えるボディがないのにレンズだけ整備しても仕方ない。α7もDfもZ5も高いしなあ、と思っていました。Nikomat FTNの存在は意識していたことは確かなのですが、フィルムで撮ることもないし、どうしようもないかな、という気持ちでいました。

それが8月12日、お盆休みで子どもたちと実家に遊びに来た折に、やはり気になって、久しぶりにNikomat FTNを触ってみました。いいカメラだな、と思いました。モルトプレーンは傷んでいるし、ファインダーにはゴミがあるのだけれど、シャッターはちゃんと動いているようだし、ダイヤル類もちゃんと動く。これはちゃんと整備して、不安なく使える状態にしておきたい、と決心しました。そこで以前から整備をするならここ、と決めていたキィートスに電話してみました。すると信頼できそうな感じで、その日のうちに発送しました。

レンズも一緒に送ろうかな、とも考えましたが、まずはボディを整備してもらうことにしました。

フィルムを通してみて、その後どうするか考えます。ちなみに1ヶ月ほどかかるそうです。

9月14日に戻ってきました。