ハイレゾショットでフィルムのデジタル化

ZUIKO DIGITAL 35mm F3.5 Macro

フィルムのデジタル化は面倒だ、という話を以前に書きましたが、最近フィルムも使うようになったので、何とかならないか、と試行錯誤してみたところ、いい結果を得られたので、記事にします。

フィルムで写真を撮っているのに、最終的にはデジタルデータが欲しい、というのが、話をややこしくしているそもそもの原因です。

デジタルデータが欲しいのならばデジタルカメラで撮る、フィルムで撮りたいのならプリントするかフィルム自体をルーペで鑑賞する、と割り切ることができれば苦労はないのですが、そういうわけにもいかない。

ネガフィルムの現像+データ化は「カメラのキタムラ」など即日現像できる近くの写真屋さんにお願いしています。そのときにちょっと不満なのが、得られるデータの解像度と画質です。長辺1500から1800ピクセル程度で、シャープネスとコントラストを高めた感じのjpg画像なんです。撮影した内容を確認するのには便利ですが、もうちょっとなだらかなトーンにしたいと思っても編集に対する耐性は低いし、そもそも解像度は最低限しかないので、もうちょっと編集に適した高解像度のデータが得られないものか、と思います。

方法として一番簡単なのは、手持ちのデジタルカメラにマクロレンズと ニコンの「ES-1 スライドコピーアダプタ」 を取り付けて、フィルムを撮影することです。それは以前に試した通り、とても面倒です。

フィルムスキャナも考えたのですが、ちゃんとしたものは高いし、置き場所も必要だし、そんなに多用するとも限らないし、と、またウジウジ考えていたところ、新たに手に入れたカメラとレンズを使うことで、今までには得られなかった超高解像度で撮影できることを知り、嬉しくて記事にしています。

具体的にはE-M5 MarkII + ZUIKO DIGITAL 35mm F3.5 Macro + MMF-3に、ニコンの「ES-1 スライドコピーアダプタ」を取り付け、ハイレゾショットの設定にして、jpg+RAWで撮影。すると、9216×6912ピクセルのRAW画像が得られます。約6400万画素。RAWデータは実に100MBあります。10枚で1GBというのは、ちょっとすごい。

カメラもレンズも、フィルムのデジタル化のために買ったものではありません。E-M5 MarkIIのハイレゾショットについても、どこかで情報は目にしていたはずですが、特に興味がなかったのか「そういえばそういう機能があったな」という程度。マクロレンズについては安くで手に入れたMMF-3を実用するために買ってみた、という程度のもので、実用的にはE-M1の像面位相差AFがないと、AFが遅すぎるため、E-M5 MarkII + ZUIKO DIGITAL 35mm F3.5 Macro + MMF-3という組み合わせは、考えたこともありませんでした。

NEX-6(APS-C)でニコンの55mmマクロを使うときには市販のフードなどを使って、画面いっぱいにフィルムを写せるように延長する必要があったり、ピント合わせが大変だったりしますが、この組み合わせなら、レンズ先端にES-1を取り付けるだけ。フィルター径も52mmです。ただし、コントラスト検出式のAFしかないE-M5 MarkIIで使うと、合焦しないことがあります。その場合はMFである程度まで合わせて、最後にAFで合わせるといいようです。通常撮影では実用的でないAF速度ですが、フィルムを撮るだけなら問題ありません。 9216×6912ピクセルで撮影はできますが、トリミングすると、だいたい8250×5500ピクセル程度。それでも4500万画素程度はあり、撮影準備の容易さと、得られる画像の高精細さと編集耐性(RAWなので)を考えれば、実用性は高いのではないかと思います。

下に実際に撮影した画像を、写真屋さんでスキャンしてもらったデータとの比較で掲載します。スキャンデータはもらったものをそのまま、フィルムを撮影したものはLightroomで調整後、リサイズしたものです。Photoshopのスタンプツールでゴミ取りもしています。クリックすると実サイズで表示されます。

カメラのキタムラでデジタル化 Nikomat FTN + Nikkor-UD Auto 20mm F3.5 F3.5 1/60 ILFORD XP2 super 400
E-M5 MarkII + ZUIKO DIGITAL 35mm F3.5 Macroでデジタル化後、調整しリサイズ
ジョイカメラ柏原店でデジタル化 Nikon F + NIKKOR-H Auto 50mm F2 F11 1/500 ILFORD XP2 super 400
E-M5 MarkII + ZUIKO DIGITAL 35mm F3.5 Macroでデジタル化後、調整しリサイズ

比較して気づくのは、お店のスキャンはずいぶんとトリミングされているな、という点。あと、フィルムの解像度の限界はそんなに高くないな、という点です。ILFORD XP2 super 400の場合は、という但し書きが必要ですが、粒子がそんなに細かくないからか、超高解像度で撮影にしても細部は不鮮明です。

フィルム性能の限界を超えるほどの超高解像度でデジタル化できるのであれば、今回の組み合わせに不満があるはずもありません。

あとはフィルムのハンドリングです。もともとES-1はマウントされたスライドをデュープするためのものなので、スリーブを固定するには、ひと手間必要です。私はプラスティック製のマウントをカッターで削って、スリーブを挟んで固定できるようにしていますが、いちいち面倒なので、もうひと工夫必要でしょう。

今回はモノクロなので色については考える必要はありませんが、カラーネガの場合、簡単ではありません。試しにカラーネガも試してみたところ、どうしても色被りが残ってしまいます。

もう少し試行錯誤する必要はありますが、今のところ、方向性は間違っていないと思います。