フィルムのオートフォーカス一眼レフ(以下フィルムAF一眼)に興味を持ち出した直接のきっかけは、Photo & Culture Tokyoに連載されている「エアポケットの時代 ─80〜00年代の日本製カメラたち─」という記事だったと思います。フィルムAF一眼の操作性の変遷や、各メーカーごとの違いなどを読んでいくうちに、ちょっと使ってみたいな、という気持ちが強くなってきました。
その時代のカメラはすでにEOS 650を持っていて、2021年11月から再び使い始めました。EOS 5D MarkIIで使っているEFレンズの中でも50mm F1.4 SUMや28mm F2.8 IS USM、40mm F2.8 STMといったコンパクトなものを取り付けて。1987年に発売されたEOSの初号機なので、操作性にいささか古いところはありますが、充分使えます。何よりAFがスムーズです。ファインダーも見やすいし、作りもがっしりしています。
その他にも面白そうなカメラはないかな、と考えていて、ちょうど出会ったのがEOS-1 HSとNikon F60Dです。時代もクラスも違う2台です。どちらも現物を触って、納得して買いました。
購入の経緯は記事にしているので、詳細はそちら(EOS-1 HS、F60D)をご覧いただくとして、どちらも普通に使えます。手触りのよさやシャッターの感触など情緒的な部分はEOS-1 HSが圧倒的です。しかし、F60Dはコンパクトで軽い、という美点も捨てがたい。
操作感や質感とは別の話ですが、F60DはFマウント固有のややこしさと、Nikon内のクラス付けによる機能制限があいまって、対応レンズの幅が狭いのが、ネックです。具体的にはAi方式のレンズは取り付け可能ですが、露出計は使用できず、AF-Sレンズは自動露出は可能ですが、オートフォーカス不可。非Aiレンズは取り付けも不可です。まあ、オートフォーカス化の時点でマウントを変えなかったのだから、致し方ない、というところでしょうか。フィルムカメラで非Aiレンズを使いたいなら、Nikon F2以前のカメラを選ぶしかないようです。
話を戻して、フィルムAF一眼の話です。Nikon FやPENATX KMと比較して、どちらが使いやすい、使いにくいというのは、特にないです。露出とピントが自動化されたから格段に便利だ、とか、逆に自動化されていないカメラはとても不便だ、ということはありません。フィルムカメラで決めるべきパラメーターは絞りとシャッター速度とピントしかないわけで、それが自動か手動かで、操作性が致命的に違うということはありえないんじゃないか、と思います。ただまあ、慣れの部分は多いでしょう。私がマニュアル露出のカメラ(PENTAX MX)でフィルムを使い始めたから、という特殊事情なのかもしれません。
機械式のカメラに対する愛情はありますが、だからといってフィルムAF一眼は忌避するものでもなく、使ってみると安いし面白いな、と思います。ただまあ、これ以上増やさないようにはしたいところです。