FUJI GA645i Professional

2023年11月12日、実家の防湿庫から持って帰ってきたカメラです。電池が切れていたので、CA123Aを2本買って入れてみると動き出しました。最後に撮影に使ったのは2005年ですから、18年の眠りから覚めた、というところです。実際は途中に何度か、ちゃんと動くか確認はしていたので、いささかオーバーな表現ではありますが、18年間フィルムを通していないのは事実です。以前から気になっていたので、今回、撮影に使おう、と決心して持って帰ってきました。

このカメラの特徴は、中判フィルム(ブローニーフィルム)を使う点。一般的な35mmフィルム(135フィルム)と違い、幅61.5mmと画面サイズが大きい。カメラ前面にプリントされている通り、6×4.5(645:ロクヨンゴ)というフォーマットです。実画面サイズは56×41.5mmで、フルサイズ(36×24mm)に対して2.7倍の面積を持ちます。以前は120と220という長さの違う2タイプがあり、220は120の倍、撮影できました。最近は120しかないようで、GA645iの場合は16コマ撮影できます。あと、645でフィルムが横送りの場合、カメラを普通に構えると縦位置になります。ハーフカメラと同じで、縦位置好きの私としては気に入っているところでもあります。

FUJI GA645i Professional

このカメラを入手した2005年1月に書いた文章を引用してみます。

2004年12月、ネット上の知人(AriaとNewFM2を交換したのと同じ人です)が、売却したいということだったので、譲って戴きました。

もちろん、カメラなら何でも手当たり次第に入手しているわけではなくて、このGA645iというカメラには以前から興味がありました。

このサイトでも書いたようにリバーサルで撮るようになってから、中判の大画面に対する憧憬が生まれました。しかし、町を散歩しながら、気になる画角をぽつぽつと撮っていくという撮影スタイルにおいて、一眼レフは大きく重い上に、ミラーショックによる手ぶれに注意しなければいけませんから、使えたものではありません。また二眼レフも、実際に使ってみると、形状的に持ち運びにくい上に比較的軽いとはいえ重いわけで、散歩のメインとして使うわけにもいかないことが分かりました。やはり、135システムの一眼レフ+レンズと同等の重さと機動性、そして操作性。そう考えると中判レンジファインダーがいい。ブロニカのRF645はよさそうですが、いささか高価すぎます。安くで使いやすそうで、というと、中古で5万円台のGA645シリーズ。これだなあ、とぼんやりと思っていました。そのカメラがより安く、しかも信頼できる人から譲ってもらえるとなると、俄然現実味が湧いてきます。そんなわけで購入した次第です。

このカメラは「大きなコンパクト・カメラ」という言い方で、デザインのまずさ、質感のなさなどを揶揄されます。デザインも質感ももうちょっと考えた方がよかった(定価で16万円もするわけですし)とは思いますが、露出値と合焦距離は表示されますし、露出補正はボタン+ダイヤルで設定できますし、パララックスは補正してくれるわけで、露出、ピント、フレーミングという写真を撮るのに必要な要素をコントロールするのに不備はありません。簡便な操作だけを売り物にしたコンパクト・カメラとは全然違います。

試写をしてみると、たまに変なところにピントが行くようですが、これはファインダー内の合焦距離表示をチェックして、測距しなおせば問題ありません。また、露出計もシンプルな昔ながらのものですが、このあたりは中判を使う人が自動露出そのままで撮るとは考えられないので問題にはならないでしょう。現像されたフィルムを見ると、やはり中判はいいなあ、と思います。レンズの描写にはしっとりした感じがあり、階調も広いと思います。大きなフィルム面積がいい方向に作用しているのかも知れませんが。特筆すべきはブレにくさで、レンズシャッターとしっかりと持てるグリップのおかげでしょう。

サイズも重さも中級クラスのAF一眼レフにバッテリ・パックを付けた場合と同じくらいで、バッグへの収まりのよさは沈胴レンズのGA645iが大差をつけて勝ります。220を通せば32コマ撮れますし、手軽に中判フィルムを使いたい、という私の所期の目的を全てクリアしてくれるカメラです。あまり220でばちばちと撮りすぎるとコストがかさみますけど。

https://www.dancestep.net/camera/camera/ga645i.php

当時はリバーサルフィルムで撮っていたので、大きなフォーマットへの憧れがありました。実際、ちょっと出かけるときに持ち出したり、旅行に持っていったり、とそのコンパクトさを活かして、2005年の1月から10月まで、7回使っています。

今回、モノクロフィルムを4本買いました。ILFORD XP2 SUPER 400を3本と、KENTMERE PAN 100を1本。

GA645iは焦点距離60mm、開放F4の単焦点レンズを搭載しています。135換算で37mmと私好みの画角を持ちますが、実焦点距離は60mmです。不用意に絞りを開くと、特に近くを撮影するときに意図せず被写界深度が浅いことがありました。そのため、ISO400のフィルムで絞れるようにしておくのがいいかな、と思いまして。とはいえ、ISO100も1本くらい欲しい、ということで、この4本です。

18年のブランクを経て、どんな写真が撮れるか、今から楽しみです。以下には2005年に撮影した写真を作例として挙げておきます。

作例

天王寺(2005/10/06)
上野(2005/01/22)