OM-1の貼り革

いきなり話は逸れますが、過去に存在した商品名と同じ名前や似たような名前にするのは、できればやめてほしいところです。OM-1以外でもPENTAX KMのときも「K-m」に悩まされました。Web検索するとき「フィルムカメラ」というキーワードを付加しても、レトロニムなので古い情報がヒットしない可能性が高まります。といって、「-デジタル」としても同じことです。どちらにしても情報が混淆します。検索したことはないですがMINIとかもFIAT 500などもややこしそうですね。

それはともかくフィルムカメラのOM-1の話です。

実家防湿庫にあるときから、貼り革のフチがめくれ始めていることには気付いていました。ただ、モルトプレンが劣化していると思いこんでいたので、そっと防湿庫に置いてありました。点検整備をしてもらえれば、ちゃんと使えるようになることは判っているけれど、今すぐする気はないから、ちょっとそのままにしておこう、ということです。それがモルトプレンが劣化しておらず、ファインダーも綺麗。ちゃんと使えそうなので自宅に持ち帰り、レンズを取り付けて空シャッターを切っていると、全体的にしっかりしています。 ミラーショックも少ない。

そうすると気になるのが貼り革のことです。貼り革がめくれたところでカメラとしての機能に支障があるわけではないのだけれど、とても気になる。

こんな少しのことでウジウジ考えてしまうのです

仔細にチェックすると革が硬くなったせいで反り返っているようです。また、ちょっとめくって覗いてみると、めくれかけているところ以外は両面テープ状のものが貼ってありますが、めくれているところは黒色の接着剤になっていて、その粘着力の低下も影響しているようです。試しに革をドライヤーであたためた上でめくれている箇所をピンチで固定。ひと晩おいてみたところ、少しマシになっただけ。まあ、そんなに簡単に直せるとは思っていませんが、貼り替えるしかない、という結論に達しました。

端々が多かれ少なかれめくれています

カメラの貼り革といえば「Aki-Asahi」です。OM-1の貼り革は1500円で買えるようです。カット済みで1500円は安い。しかし、自分で貼れるのか。また、すでに貼ってある革を綺麗にはがせるのか、という不安があります。では、貼り替えてもらう場合は、どの程度の費用が発生するのか調べてみると、だいたい1万円くらいのようです。カメラ全体のメンテナンスが私の経験では2万円から2万5000円なのに、革の貼り替えだけで1万円はちょっと高いな、と感じます。そんなわけで「Aki-Asahi」で買うことにしました。詳しい貼り方のページもありますし、何とかなりそうな気がします。赤とか青にする気はなく、一番プレーンなブラックシュリンクという種類にしました。元の貼り革と若干パターンは違いますが致し方ありません。

発送に際して、ちょっとしたトラブルがありましたがスムーズに対応してもらって、2024年9月4日に手許に届きました。帰宅後に晩御飯を食べ、現状の写真を撮って、早速貼り替え作業開始。

まずは剥がします。ドライヤーで少し暖めたから、大きな抵抗なく剥がれます。接着剤の成分が残る部分があります。裏蓋側とボディ前面側で使っている接着剤が違うのか、残っているものが全く違います。裏蓋側は黒くベタベタしていて、ボディ全面は茶色くベタつきはほとんどない。裏蓋側はほとんど両面テープでしたし、どこかで誰かが補修をしたのかもしれません。

セルフタイマーのある面を剥がしたら、ボディとセルフタイマーの隙間に、革が破れて残ってしまいました。それがどうしても取れない。ピンセットで力一杯引っ張ったら、ボディに軽い傷が入ってしまい、これ以上力ずくでやったら危ない、と思い、諦めてセルフタイマーレバーを分解することにしました。

カニ目レンチがないのでピンセットで回しますが、回らない。ネットで調べて、逆ネジであることを知りました。なるほど、逆に回せば回ります。無事に外しますが、台座部分があるみたいで、それはネジ2本で固定されているので外します。隙間の革も外せ、あとは綺麗にするだけ。綿棒に無水エタノールを染み込ませて残った接着剤を剥がしていきます。途中でキムワイプも併用し、できるかぎり綺麗にします。結局、1時間ほどかかって完了。

次は貼る作業です。まずは裏蓋から。歪まないようにゆっくり貼ります。まあまあいい感じで貼れた気がします。次は向かって右側。吊り金具あたりがちょっと難しかったものの、なんとか貼れました。端々をピンセットの反対側で押し込む感じにすると、落ち着きました。最後は難しそうなセルフタイマーがある側。ミラーアップレバーもあるので、隙間に滑り込ませる必要があり、少し難儀しましたが、なんとか貼り終えました。

そしてセルフタイマーレバーを組み戻します。分解の際に外れてしまった、セルフタイマーを開始するレバーの樹脂パーツを接着剤で貼り付けます。貼り革とも接着してしまわないように、剥離紙を挟み込んでおきます。その間にお風呂に入って、洗濯をします。硬化しないと次の作業には入れないので。

セルフタイマーの中身はそんなに汚れていません

1時間ほど経過し、完全ではないけれど、触っても取れそうにないので、作業再開。台座を戻します。

これはスムーズ。次にレバーを元の位置に戻そうとしますが、入らない。レバー裏側にある突起部をはめるべき隙間が存在しない。ということは、その隙間がある状態にしないといけません。ネットでいろいろと調べて、「分解前にセルフタイマーのレバーを半時計周りに若干倒しておくと、戻す時に楽」という主旨の記述を発見しました。たぶん、これが解決策だと感じましたが、そのセルフタイマーレバーを今は外しているわけで、倒すのは無理。だけど、軸を反時計回りには回せる。すると隙間ができて、レバーは所定の位置に収まりました。

セルフタイマーの作動チェック。うん、大丈夫。貼り革をチェックし、浮いている気がするところをピンセットの反対側で押し込ます。うん、綺麗になった。

結局作業時間全体としては2時間ほどかかりました。これで分解したところが戻せなかったり、綺麗に貼れなかったりしたら目も当てられませんが、結果的には貼り革に関する気掛かりも解消し、愛着も増したので何よりです。

前面
裏面

今度貼り革を貼り替える必要性が生じたら、どこかにお願いしようと思います。今回はうまくいきましたが、次もうまくいくとは限らない。