私はもともとたくさん写真を撮る方ではありません。2000から2005年頃にフィルムで撮っていた当時は「今日はよく撮ったな」と思っても36EXを2本でした。デジタルで撮るようになって、旅行などに行くと1泊2日で400枚ほど撮ることもありましたが、それだけの数を重ねても、気に入った写真が撮れるわけではない。
森山大道は「量のない質はない」と仰っていますが、私には量を質に繋げる写真的体力がないようです。
それに枚数が多いと、整理するのがとても大変です。同じシーンで10枚近く撮影していることもあり、微妙にフレーミングが違うだけだったりすると、その中から選ぶのもひと苦労です。フィルムの場合はだいたい1コマなので、ちょっとフレーミングに難があったとしても、是非もなし。
最近は36EXのモノクロフィルムを通したら、回数にして2、3回、期間にして1ヶ月くらいで使っています。デジタルカメラも持っていくので、バシバシ撮るのはデジタルに任せて、フィルムはポツポツと撮るだけでいい。モノクロで撮るのに慣れてきて「このシーンはモノクロで撮ってもそんなに面白くないだろうな」というのがある程度判断できるようになってきたのも大きい。色の魅力が大きなウェイトを占める被写体はモノクロにしてもつまらない。モノクロ向きの被写体を見つけたら撮る感じ。

そういう経緯があり、36EXを一回で撮り切ろうとすると、無理が生じることが多い。後半で特に必要のない写真を撮りがちです。それよりも、撮りたいものだ撮って、余ったらまた次回、という方がいい。すぐに現像できないデメリットはありますが、すぐに見なければいけないわけでもなし。逆に言うと、すぐ結果を確認したい試写の場合は無理にでも撮り切ります。
再びフィルムで撮るようになった頃は、できるだけ早く結果を確認したくて、ILFORD XP2 SUPER 400の36EXを無理に撮り切って、車で30分くらいのカメラのキタムラで即日現像してもらう、ということをしていましたが、最近は落ち着いたので、待てるようになりました。
急ぐ必要もないし、気長に、気楽に、でも真剣に「1コマで決める」という気持ちで撮るのが、今とても楽しい。