OLYMPUS PEN Sっていいな、と使うたびにしみじみ思います。
仕様をざっくり書いておきます。レンズシャッター式のハーフサイズフィルムカメラです。レンズの焦点距離は3cmで、開放F値は2.8。シャッター速度はB、1/8、1/15、1/30、1/60、1/125、1/250。ピントは目測、ファインダーは近距離補正マーク付きブライトフレームあり。フィルム装填は裏蓋取り外し式。巻き上げはレンズ付きフィルムのようなダイヤル式で、巻き戻しはクランク式です。
スペックを見ると古いカメラだな、と感じますね。実際1960年発売ですから、もう66年も前です。底蓋しか外れないバルナックライカを使っていると「お、便利」と思ってしまいますが、裏蓋取り外し式、というのが時代を感じます。あと、シャッター速度が1/250までなのが、使えるフィルム感度の選択肢を狭めています。ISO400は晴天屋外だと使いにくい。
また、ピントが目測というので拒否感を感じられる方もいらっしゃると思います。赤瀬川原平も「ピント目測は苦手」というようなことをどこかで書いておられました。私もそれを読み「そうだよな、ピントはきっちり合わせたいよね」と思っていました。今となっては、ピントはきっちり合わせたいけど、目測でもだいたい合うよね、と思っています。
もちろん、最短で絞り開放で、みたいなことをすると外します。そういう撮影をしたいときは、ピントを追い込めるカメラを使うべきです。また、心配なら距離を変えて何コマか撮っておくと安心です。
何より強調しておきたいのが、ちゃんと綺麗に写る、という点です。モノクロフィルムで撮って現像したものをルーペで見ると、コントラストが高めで、解像度が高く、かっちりきっちり写っています。

そういうカメラがこんなに小さくて、軽くて、かたちが可愛い。小さいからバッグにもすっと入る。軽いから首から提げても苦にならない。そして、レンズが出っ張らないので、写真を撮りながらカメラを気にするシーンが格段に少ない。また、小さいわりに、どっしりとした重さがあるけれど、絶対的には軽い。
大きさ、重さ、性能のバランスがいい。しかも72コマ撮れる。いつもは撮らないような画角もどんどん撮れる気軽さがある。
一時期は使わなくなり、実家の防湿庫で眠っていました。気付いたらシャッターの動作が不調だったのと、張り革が剥がれてきていました。

きっかけはPENTAX 17です。久しぶりに新商品としてフィルムカメラが発売される、と聞き興味津々でした。発売されてすぐは供給が間に合わず品薄状態が続いたいたので、少し経ってからヨドバシに見に行きました。でも、在庫どころか展示もなくて残念でした。
改めてスペックをじっくりと眺めると、ピント合わせと露出に関して、私の使い方にはちょっと合わないかな、と思うようになりました。だったら、どちらも完全に手動のPEN Sをメンテナンスしてもらって使えるようにした方が満足度は高いんじゃないか、と考えはじめました。
毎度のことですが、カメラのメンテナンスは安くありません。手持ちのPEN Sをメンテナンスするより、メンテナンス済みのPEN Sを買う方が安いことも多いと思います。でも、これも毎度のことですが、私は新しいPEN Sが欲しいわけではなくて、持っているPEN Sで写真を撮りたい。
そもそもPEN Sを買ったのは、2004年のことです。買って帰って子細にチェックすると余り程度がよくありませんでした。具体的な購入価格は珍しくメモしていないので不明ですが、高い買い物だったな、と感じた記憶があります。後にシャッターに不具合が発生したのも、きちんとメンテナンスせずに売っていたからじゃないか、と疑ってしまいます。買った店は今も営業されていますが、二度と買わないでしょう。
そういう経緯があって、一時はPEN Sを見る度に哀しい気持ちになっていたこともあります。だから、メンテナンスしてもらって本当によかったと思っています。
PEN Sを気に入っている理由について、ここまで書いてきて気付いたのは、カメラとして魅力的なのは確かですが、それに加えて、この個体への思い入れが強いこと。
20年の時を経て、やっと快適に使えるようになった喜び、当時の自分に対して尻拭いができた安堵感、そしてPEN Sの使いやすい機能、ほどよいサイズ感と重量感。そのあたりがない交ぜになって、PEN Sに対して強い愛着を感じています。
まあ、そういう思い入れを別にしても、いいカメラだと思います。


