この博物館のすごいのは入館無料というところです。もしお金がいるのなら、もともと期待していなかっただけに入っていなかったと思います。そしてさらに、ボランティアと思しき人が丁寧に説明してくれます。
入って一番目を引くのが、堤の断面標本です。7世紀から最近までの改修の軌跡が目で理解できます。そして、池から水を引く設備である樋(ひ)の実物もあります。これは船を作る技術を応用して作ったらしく、技術的には拙いのかも知れませんが、最新のものと機能的には変わりありません。これは50年前のカメラが今でもきちんと使えることを知ったときと同質の感動があります。しかも、土木の技術は目で見て理解できるので、ボランティアの人の説明もあって、うーん、なるほどなあ、と納得できます。
設計は安藤忠雄。狭山池の水が壁面を滑り落ちるようになっており(Photo 5,6参照)、その水の裏を歩いて博物館に入るようになっているので、轟音がします。
しかし、遠くから見たり写真にすると水に建物が写り込んで、シンメトリカルな静謐をたたえたデザインになりますから、そのコントラストが面白い。
写真的には大変に魅力的な建物です(だからこうして紹介ページを作っているわけです)が、道が分かりにくい。遠回りするような感じで、きちんと案内に従わないと入れないし出られない。まあ、建物がじっくり見られていいんですけどね。歴史や建築に興味のある人にとっては、行ってみる価値のあるところだと思います。
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