単焦点レンズを使う理由と画角について

最近は35mm1のレンズが好きです。50mmも好きなので、この2本ばかり使っています。

Leica If + W-NIKKOR・C 3.5cm F2.5 FUJICOLOR 100

35mmは見たまま撮れるイメージ、50mmは少し切り取る感じで、35mmを使うと50mmが恋しくなり、50mmを使うと35mmが恋しい。とはいえ、2本とも持って行けばいい、というわけではない。

Leica IIIf + CANON LENS 50mm F1.8 KENTMERE 100。

場所によっては28mmが使いやすいことがたまにあります。24mm以下の広角や60mmを越える望遠はほとんど使いません。用途が限られます。

そもそもこういう話は、単焦点レンズを使ったことがあって、それぞれの画角を意識している、という前提がないと通じないのかもしれません。

はじめてカメラを買うとき、標準ズームレンズをセットで手に入れることを前提に、次の1本として単焦点レンズを買いませんか、みたいなマーケティングを以前はよく目にしましたが、今もそうなのでしょうか。最近は魅力的で比較的廉価な単焦点レンズも多いので、初めてのカメラでもボディと好きな単焦点レンズを買う、という人もいらっしゃることでしょう。しかしまあ、どの焦点距離がいいかなんて使ってみないと判らないわけで、やはり最初はズームなのでしょうか。

私も最初はズームレンズでした。以前に何度も書いていますが、写真を撮り始めた頃、換算35mm始まりの3倍ズームレンズを搭載したデジタルカメラを使っていました。そして35mmは狭いな、と感じていました。

その後、父のPENTAX MXを使うようになって、28mm、50mm、135mmというラインナップ(時代を感じますね)の交換レンズがある中で、28mmの画角が自分にぴったりだと感じました。町並みを撮り歩いていて、見える全体を撮るのにちょうどよかったのです。その後Nikon New FM2を購入したときにも、まず28mmを手に入れたくらいです。

その次に興味を持ったのが50mmです。最初は「『標準レンズ』って誰の標準やねん」と反感を持っていましたし、28mmをメインに使っていると、ほぼ望遠レンズのような気がしていましたが、なじんでくると、撮りたいものだけ撮れる感じがいい。それにレンズが明るいので、一眼レフを使う上ではファインダーが明るくなって快適です。New FM2用にF1.2のレンズを買ったりして。

28mm、50mmと好きになって、35mmは苦手でした。どっちつかずというか、中途半端というか、広角で撮りたいなら28mmでいいじゃん、と感じていた期間が長かった。35mmが一番好きかもしれない、という感じるようになったのは、わりと最近、ここ5年以内のことです。

よさについて説明するのは難しい。そのよさを知っている人には言わずもがなですし、知らない人は、その人が実感を得るまで、そのよさは判らない。しかしまあ、そういうのを説明するのがこの文章の目的なのだから、可能な限り説明してみたいと思います。

画角を私の極個人的な感覚で言うと、24mmはぼうっと見た視野全域、28mmは通常の視野全域、35mmははっきり見える範囲、50mmは注視した範囲、85から105mmは凝視した範囲だと思います。異論はありましょうが。ちなみに眼球をぐりぐりしないで、の範囲です。16mmなんて見えない範囲まで写っているんじゃないか、と感じますが、目を動かせば、一応見える範囲ではあります。

CANON Serenar 35mm F3.2

そして、問題の35mmです。はっきり見える範囲、要するに日常的に見ている、あるいは見えている範囲。違和感のない画角がいい画角なのか、といえば、それは状況によるでしょう。望遠でも超広角でも、撮りたいものがその画角なのであれば、そちらの方がいいでしょう。

しかし、街をうろうろと歩きながら写真を撮る上では、自分が見ている範囲が写る、というのは魅力です。何かに「おっ」と感じてファインダーを覗き、うん、と納得してシャッターを切るわけですから、脳内で画角を変換する手間が少ない。普通に見ている範囲なので、とくに視野を意識して画角に合わせる必要がない。50mmを付けているときは、一瞬ですが、ここまでは入るけど、このあたりは入らないだろうな、と写る範囲を意識している感覚があります。これは広角でもそうで、少し目の力を弱めて、外側を見る必要があります。

そんなわけで、最近は35mmと50mmばかり使っています。

一番よく使うズームレンズ

ズームレンズは便利だと思いますが、趣がないと予々感じてしまいます。「趣」とはなんぞや。「趣」とは「愉しみ」かな、と思います。この場合で言うと、好きなカメラに単焦点レンズを付けて、カメラ1台、レンズ1本で気になる街をうろうろしながら写真を撮ることで、その「愉しみ」は発生します。

このときズームレンズだと、一瞬の躊躇が生じる。この画角でいいのか。
もちろん、単焦点レンズでもファインダーを覗いて「この画角はダメだな」と思うことはよくあります。その場合はシャッターを切らないか、よさそうな位置に移動するだけです。でもズームレンズだと、ズームリングをぐりぐりするだけでいい可能性もあるわけで、立ち止まって考えてしまう。もうちょっと望遠にして画面を整理すれば…みたいな。そこでリズムが崩れる。

気持ちよく何かをしようというとき、リズムはとても大切です。写真以外では文章で最もそれを意識します。快適なスピードがあって、それを実現でき環境を欲します。昔は筆記具に凝ったりしていましたし、最近ではpomeraを買ったりして、絶え間なくよりよい環境を模索しているわけです。今はpomeraで満足していますが、要するに思考のリズムに乗って書けることが大切です。

pomera

なぜ写真にリズムが必要なのか。私は街を歩きながら「おっ」と思う画角を探しています。「おっ」と感じたらファインダーを覗く。そして、うん、これだ、と思ったらシャッターを切るし、ダメなら切らない。このリズムを繰り返すことで、愉しみが増幅していく。写真に関するテンションがどんどんと高まっていく。それが気持ちいい。

ズームレンズでもリズムよく写真を撮れる、という意見はあるでしょう。それはたぶんそうなのでしょう。複数の画角で街を見ることができれば、そうなると思います。例えば24-70mmというズームレンズを付けているとき、その範囲内の画角を瞬時に選択することができればリズムは乱れない。でも私にはそれはできないから、リズムが崩れてします。

EOS-1 HS + EF 50mm F1.4 USM

撮るときの気持ちいいリズムを高めてくれる単焦点レンズが、要するに私に合っているようです。

  1. 135システム ↩︎