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13.2台目のカメラ選び


2001年6月11日、New FM2を買いました。本体は新品で5万7600円、レンズは中古の28mm F2.8で2万7800円でした。接眼補助レンズとストラップはポイントでまかない、レンズも3500円くらいをポイントで支払ったので、税込みで8万5000円くらいでした。


2001年の2月くらいから、「フィルム・カメラが欲しいな」とは思っていたものの、それまでフィルム・カメラを本格的に使ったことがなかったので、1年近く愛用してきたデジカメとの違いに恐れをなして、「欲しいな」というだけで留まっていました。それに、撮ったらすぐ見られて、自分でレタッチできて、しかも自宅でプリントまでできるというデジカメ固有の利便性を考えると、「やはり、デジカメがいいかもな」という気持ちがありましたし。

フィルム・カメラに対する抵抗がなくなったのは、父からペンタックスMXを譲り受けた5月の初めのことです。譲り受けたからには使うわけで、実際に撮ってみるとフィルムで撮った写真はデジカメで撮ったそれよりも格段に綺麗でした。しかも、フィルム・スキャナがなくとも「フジカラーCD」というサーヴィスを使えば、PC上で扱えるディジタル・データをリーズナブルな価格(700円)で手にすることもできます。なので、どこかに書いたようにデジカメをメインとして使う気が失せてしまったのです。もちろん、MXの質感と趣味性の高さというのも影響しています。それがあるからこそ、ランニング・コストをかけても、フィルムで撮ろうと思ったのです。

そこで、本格的にフィルム・カメラを買おうと思いました。「MXがあるのに何故」と思われるかも知れませんが、MXだからこそ、そう思ったのだと思います。というのは、25年も前に作られたカメラなので、修理がきかないわけです。メイカーは点検すらしてくれないという話ですし、いかなる修理専門店でもパーツ交換を伴う修理は無理なのです。ですから、故障に対する不安が、頭のどこかにいつもあります。そういう状態は精神衛生上好ましくないわけで、現行の修理の効くカメラを買って、MXを大事にしつつ、並行して使っていくようにしたい、と思うようになりました。


実際問題として、どの機種を買うかでいろいろと考えました。MXが完全マニュアルだから、完全オートのミノルタα-7という選択肢もありましたし、焦点調節だけはマニュアルにしてコンタックスのアリア、そして一眼レフから離れて、レンジファインダーで完全マニュアル操作のBESSA-Rというふうに変遷していきました。「フィルム・カメラが欲しいな」と漠然と思っていた時には、これ以上にいろいろと考えましたが、本当に買うとなった最近はこの3台くらいが魅力的に思えました。

で、結局BESSA-Rを買おうと思っていました。MXとは全然違う種類のカメラの方がいいんじゃないか、という理由です。ただ、視野率の低さとレンズを換えても視野は変化しないという点、それとやはりパララックスがあるという点、それからカヴァーが樹脂製であるという点に不満がありました。とはいえ、そこまで言うと何も買えないだろうと思って、6月2日に友人と買いに行こうと計画していました。


しかし、幸か不幸か5月31日に「はしか」にかかって入院してしまい、6月2日は行けなくなったのです。そのころは40度の熱が出て、死ぬんじゃないかと思っていたくらいですから。

退院したのが6月の7日で、その週末も行けず、6月17日の日曜日にでも買いに行こうかと考えていました。もちろん、BESSA-Rを、です。しかし、先に挙げた点がひっかかって、「是非欲しい」という熱い気持ちではなかったのも事実です。「ま、買うならBESSA-Rだろう」というクールな状態でした。


それで6月11日が来るわけです。その日は月曜日なので大学に行きました。その日にカメラを買おうなどという気は全くなく、ただ登校して1限目の英語の授業を受けました。ちょうど2限目が休講だったので、図書館のインターネット端末でちょっと気になっていたペンタックスLXを検索してみました。するとペンタックスLXは生産を終了される関係か、購入に至るまでの感動的な顛末を綴ったページが数多くヒットし、「欲しいなぁ」という気になってきました。そしてニコンのF3も気になっていたので検索すると、これも感動的なものが多いのです。「素晴らしい質感、巻き上げレバーの感触がいい」とかそういう話です。それで、私の中での「カメラ欲しい」という気持ちが膨れ上がって、居ても立ってもいられなくなってしまいました。それで「ペンタックスLXを買おう」と決心して難波のビックカメラに行くことにしました。定価が15万円と高価なカメラなのですが、デザインもいいし、MFでいい感じだし、MX用にペンタックスのレンズが揃っているので、本体だけ買えば済みます。それで天王寺の郵便局で15万円下ろし、一路ビックカメラに向かったわけです。途中で「15万円のカメラ(しかも本体だけで)というのは私のような初心者にとって高価すぎるのではないか」とかいろいろと考えたのですが「まぁ実物を前にしてから考えよう」ということで一応向かいました。


ところが、LXがないのです。ビックカメラを出て、なんばCITYのキタムラに行ってもないのです。やはり、さるBBSにあったようにLXはないようなのです。それに、やはり高価すぎるという気持ちもあって、LXは諦めることにしました。でも、物欲は頂点に達していたので、MX用に35mmレンズを買って帰ろうと思いました。というのは、LXを探しに最後に訪れた、なんばCITYのキタムラに綺麗なM35mm F2.8というレンズが2万1000円であったからです。実際に見せてもらいましたが、何の問題もなかっので、購入しました。

でも、まだ諦め切れず、日本橋に行けばカメラ屋さんがあることに気付き、行ってみました。でも、LXはなくて本当に諦めました。それで、何か面白いものはないかと思ってカメラのドイの中古フロアに行くと、そこに新古品のNew FM2がありました。定価7万6000円のブラック・モデルが4万9800円でした。35%引きと安いので、一瞬どうしようかと考えたのですが、安心感の高いカメラを求めているのに、新古品とは言え中古カメラを買うのはやめようと思って、向かいのカメラのナニワに行きました。そこには新品のNew FM2が触れられる状態で置いてあることを知っていたからです。


New FM2に興味を持ったのは、これが初めではありません。MXを譲り受ける前に、いろいろとフィルム・カメラについて考えたとき「New FM2が魅力的ではないか」という結論に達していたので、基本的なことは頭に入っていたのです。具体的には、完全メカニカルのカメラであるということ、そして具体的なスペック、そして実は2001年初めに生産中止されているということ。シャッターダイヤルが軽いとか、分割巻き上げができないという点なども知識として知っていました。

ではなぜ、MXを入手してからは購入候補から外れたのか、ということですが、キャラクターがすごく似ているからです。完全な機械式カメラであり、軽量コンパクトを売りにしています。デザインも古典的な一眼レフのものです。シャッター速度の最高速は古いMXが劣るわけですが、コンパクトさではMXが勝っています。しかし、その程度の違いでしかないのです。どちらも「軽量コンパクトな完全機械式MF一眼レフ」というカテゴリーに収まるカメラです。


実際に触ってみると、シャッターダイヤルは軽いですし、分割巻き上げもできないわけですが、私にとっては不満がありませんでした。それに、MXと同じようなカメラの方が、併用する場合にはいいのではないか、とも思いました。AF一眼レフなどを買うと、露出までマニュアルのMXを使わなくなりそうですし、BESSA-Rはすごく軽いので、それもMXを使わなくなる理由になりそうです。これはまぁ理屈で、完全機械式のカメラであるNew FM2の質感に納得したというのが実際のところです。「これはいいな」と思ったのです。

プライス・タッグを見ると50mmレンズとセットで9万2000円とありました。ちょっと高いと思いました。税込みにすると10万円くらいになってしまいますから。なので本体だけの価格を聞くと、5万7600円だということでした。これは安いと思いました。6万円以下で完全機械式で1/4000秒まで切れて、金属ボディのカメラが買える。安い。それにポイントが10%付くというのです。5760円分付くわけですから、お得です。レンズは新品は高いので、中古で手に入れようと思い、ポイントは中古でも使えるのかを聞くと「使える」ということなので、即決。ペンタックスLXを買おうと思って来て、New FM2を購入するというのも変なものですが、まあいいでしょう。


本体だけだとどうしようもない(カメラのボディだけを入手して何をしろというのか?)ので、冒頭に書いたように接眼補助レンズとストラップはポイントでまかないました。それから試写用ということでネガフィルムを一本付けてくれました。なのでいろいろ込みで6万480円払ったということになります。そして、近くの中古カメラを扱っている方のナニワに行き、マニュアル・フォーカス用のAi-Sニッコールの28mmを探してみると、驚くべきことに箱付きの新古品のものが置いてありました。F2.8のヤツで、定価は4万9000円なのですが、それは2万7800円でした。実物を見せてもらっても大変綺麗だったので、購入しました。ポイントでの値引きが3500円くらいあったので、実際に払ったのは2万5000円くらいでした。

結局8万5000円強でNew FM2とAi Nikkor 28mm F2.8Sを手に入れることができました。


まだ本格的に使っていないので、断定的なことは言えませんが、「いい写真が撮れそうだな」と期待させてくれるだけの感触があるカメラであることは確かです。


2001年6月13日

Nikon NewFM2