メニュー表示

12.フィルム・カメラへの移行14.NewFM2購入に至るまでの長い話


アリアとα-7

ペンタックスMXを父から譲り受け、撮れる写真の綺麗さと、操作性や質感に魅せられてしまいました。そこでフィルム・カメラに移行しようと考えていますが、2台目としてもう少しスペックが高くてオートのカメラが欲しい。


ペンタックスMXは完全にマニュアルのカメラで、シャッター・スピードの上限が1/1000秒と少し遅いのです。単焦点の明るめのレンズが多いのに、晴れた日だったりするとそれを開放付近で使うこともできません。

それに、結局のところ、自動露出+露出補正の方が早いわけです。マニュアルのカメラでゆっくりと散歩でもしながら、というのは楽しいものですが、散歩のついでに写真を撮る、という感じではありません。絞りを設定して、露出計を見てシャッター・スピードを合わせ、ピントを合わせて撮る、というのは、楽しい時もありますが、面倒である場合もありますから。


先日、友人とカメラを見に行ったのですが、いろいろと触っているとやはり10万円前後のものが、質感も高く、大きめのAFズームレンズを付けてもバランスがいいように感じました。もちろん、20万円くらいのものになると外装が金属になって、質感も驚くほど高くなるのですが、価格的に厳しいものがあります。また、レンズを付けると1kgを軽く超えてしまい、私の用途には合いません。

店頭で見て、欲しいと思ったのが、コンタックスのAriaです。プラスティック外装ということでナメていたのですが、触ってみるとしっかり感があって、塗装の感じもよく、大きさも程よい。それにツァイス・レンズに対する憧れみたいなものもあります。

本体価格も8万9000円とリーズナブルでした。ネックはマニュアル・フォーカスであると点。それはそれでいいのですが、ペンタックスMXを持っているのに、2台目もまたマニュアル・フォーカスのカメラを買うのは無駄のような気がします。ここはいっそ、完全にオートの一眼レフの方がいいのではないか、と。


そこで考えたのが、ミノルタのα-7です。これは12万5000円とちょっと高価なのですが、1/8000秒という高速シャッター(Ariaは1/4000秒)が切れ、これまた質感が高く、剛性感もあるカメラであるという点。そして、9つのダイレクトに選択できる測距点、使いやすいダイヤル式の露出補正、秒速4コマという速写性能など、大変に高性能です。そう考えると12万5000円という価格は魅力的に思えてきます。ファインダー倍率が0.8倍なのも魅力です(大抵のAF一眼レフは0.7倍台)。

また、レンズも円形絞りやマニュアル・フォーカス時にトルクのあるピント・リングなど、あまりメジャーではないですが、よさそうです。それと、24mm単焦点レンズや、24mmからの標準ズーム・レンズがリーズナブルなのにも魅力を感じます。

問題はやはり価格で、24-105mm F3.5-4.5(D)というレンズとセットで買うと、実売価格で15万円に達してしまいます。デザインはAriaの方が好きですし、価格もズームではなく28mm単焦点とセットではありますが、12万円くらいに収まります。

今すぐ買う気はないので、ペンタックスMXを使いながら、私はどんなカメラを必要としているかを見極めて、ペンタックスMXに不満が出てきたら、またじっくりと考えようと思っています。今のところは、ペンタックスMXと違うカメラをという意味で、ちょっとα-7寄りです。

2001年5月10日


実用的レンジファインダー

α-7という選択肢が最も魅力的に思えるのですが、完全にオートのカメラというのに少し抵抗があります。それに重い。ボディが600g弱で、ズーム・レンズが400g弱なので、実に1kg弱という重さなのです。ペンタックスMX+28mmレンズが約650gなのですが、それでも重いと思っているくらいなので、ちょっと厳しいものがあるな、というのが本当のところです。

それに、写真というのは、フィルムを手で巻き上げて、絞りをセットしてシャッター・スピードをダイヤルで設定して撮るもんじゃないのか、という気持ちがあるのです。バカらしいと言えばそうですが、何と言うか、身体を使って、自分で考えて撮ってこそ写真じゃないか、という気持ちが私の中にはあります。風景だからちょっと絞り込んで、パン・フォーカス的に撮ろうとか、シャッタースピードを落として動きを表現しようとか、そういう「目論見」みたいなものがあった方が、写真は上達するんじゃないか、という気がするのです。

「気がする」というような曖昧な気持ちは蔑ろにされがちですが、我々は「思い込み」の中で生きています。迷信を「非科学的だ」と言って批判する人がいますが、現代も「科学」という迷信によって支配されている、と言えるのではないかと思っています。100年後くらいには、いわゆる「科学」が迷信になっているかも知れない。

まあ小難しいことを言わなくても、要するに「気がする」という部分を大事にしたい、ということです。


全て自動でやってくれるカメラの方が「便利」なのは確かです。それに、しようと思えばα-7はマニュアル露出だってできるわけです。マニュアル・フォーカスもボタンひとつで切り替えられます。

でも、「できる」のと「する」のとの間には隔たりがあります。自動で露出を合わせてくれるのに、わざわざマニュアルにするか。フォーカス・リングはマニュアルでも使いやすく作られているのか。ピントをファインダーできちんと確認できるのか。こういった疑問があるし、たぶんこれらは全て否でしょう。何せ、オートをメインとしたカメラですから。そして、そんな不便なことを敢えてするほど、私は意思が強くない。

そういうわけで、「マニュアルの方がいいような気がする」というだけ理由で、α-7に魅力を感じながらも、ちょっと他のカメラを調べていたわけです。


そこで、ベッサRというカメラが浮上してきました。ボディ6万8000円。レンジファインダーです。このカメラはプラスティックの外装なのでバカにしていたのですが、フレームがダイキャストというのは、ちょっと見直しました。それから、ファインダーもしっかりしているようです。あと、Lマウントなので、レンズは死ぬほどあります。また、純正のレンズは低価格でデザインもよく、性能もいいらしいので、魅力的です。

これがまた、完全マニュアルのカメラなのです。電池が切れても露出計が死ぬだけで、撮影が続けられます。

ボディの質感という点では、期待するほどのものではない、ということが多くのサイトに書いてあります。価格を考えれば納得できるのですが、私にとってはこのあたりがちょっとネックなのです。道具はある程度の質感がなければならない、というのが私の基本的な考えなので、あまりに質感が低いとショックです。それ以外がすごく魅力的なだけに。

α-7も魅力的なので、どちらを買うかはベッサRを触ってから決めます。α-7は理性的に考えると優勢なんですが、ベッサRは論理を超えて欲しい。

2001年5月20日


ミノルタTC-1

メインとなるカメラとしてはレンズ交換可能なものしか興味はないのですが、そういうカメラのほとんどはコンパクト・カメラよりは遥かに大きく重いですし、その上交換レンズを持つ必要もあるので、「身軽さ」には限りがあります。今のところ、ファインダーの見易さや、シャッタースピードの上限、レンズのヴァリエーション、信頼性という点を鑑みて、レンジファインダー・カメラを買おうと思っているのですが、コンパクト・カメラだけを持って気軽に街をスナップする、というのは魅力的に思えます。

中でも「高級コンパクト」というジャンルのカメラが魅力的です。一眼レフやレンジファインダーのそれに負けない高性能レンズ、高品位の金属外装とスタイリッシュなデザイン。そして、絞り優先AEを基本としたマニュアル操作が可能で、操作性も高いのです。


「高級コンパクト」カメラはいろいろとありますが、コンパクトさとデザイン、焦点距離という点で魅力的なのが、TC-1です。サイズは99×59×29.5mmと小さく、重さは185gしかありません。デザインは直線を基調としたシンプルなものです。レンズは電源ONとともにシャッターが開いてせり出してきます。電源を切るとボディ内に収まるので、完全な直方体となり、すっきりと携帯することができます。焦点距離は28mmで、私の用途にはぴったりです。

また、操作性に関しても、露出補正は瞬時にかけられますし、フラッシュ内蔵でありながら自動発光なしというのも好感が持てます。また、視度補正も可能で眼鏡使用者の私にとってはありがたい機能です。

問題はやはり価格です。14万8000円というのは、ちょっと高いです。しかし、高性能レンズがこのサイズの高品位ボディに入っている、というのは小さいもの好きの私にとっては、大変に魅力的です。いつかは買いたい、と思っています。

2001年5月27日

CONTAX Aria