「新しいものほどいいんだ」と口に出すとちょっと馬鹿みたいですが、私などは無意識にそう思っているところがありました。古いカメラを持って古い町並みを歩くようになってから、それが本当に馬鹿らしい「迷信」である、ということが分かってきました。ただまあ、「いい」というのが曖昧な価値基準ですから、ある人にとっては新しい方がいいのかも知れないですけど、私としては古いものも魅力を無視することはちょっとできないですね。
とはいえ、私としては古いものを古いまま残すことにも疑問を感じます。古いもののよさがある反面、それゆえの不便さも確実にあるわけで、それを我慢してまで守る必要はないと思います。町というのは住まう人、働く人、訪れる人の使い勝手や時代の要求によって変化していくものですから。このあたりは言葉などと同じでしょう(「正しい言葉遣い」というのは本当に奇妙な表現です)。もちろん、不便さ(非効率さ)とよさとが背反する場合もあるわけで、どこにポイントを置くかで変化の仕方に差異は生じると思います。そのバランスという意味において、この旧居留地は大変に魅力的というか、私の好みなんですよね。
山側には異人館、海側にはこの旧居留地と南京町(チャイナ・タウン)、JRの駅の周辺には庶民的な商店街といろいろな表情を合わせ持つ神戸は何度行っても飽きることがありません。今度旧居留地を歩くときは、高感度フィルムを詰めて夕景を狙いたいな。あと、まだしっかりと歩いたことのない南京町も行きたいところです。
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