メニュー表示

7.欲しい病、悪化9.また悩む


前回、前々回と続けて「ちょっと古い感じのメカニカルなフィルム・カメラが欲しい」ということを書きました。それで、あれからいろいろと考えた結果、一時は、何本かは必要になるであろうレンズやフィルム代、現像代、写真をディジタル化する手間などに気付き、デジカメで行こうかとも思いました。しかし、タイトルの通り、やはり想いは断ち難いのです。

私はなぜ、フィルム・カメラに惹かれるのでしょう。それを考えていると、デジカメとフィルム・カメラとの間にある、大きな隔たりに気付きました。


デジカメは大きな可能性を秘めた魅力的な、フィルム・カメラを駆逐しないまでも、メイン・ストリームから引きずり降ろす力を持ったカメラであることは確かです。しかし、現時点で双方を比較した場合、デジカメの優位は操作性でも、画質でも、道具としての面白みでも、質感でもなく、撮った画像の扱いやすさとWebとの親和性しかないのではないか、と思うのです。何といっても、PCがあれば大抵のことができますからね。それはすごく価値のあることだし、Webサイトを運営している私にとっても魅力的であることは確かです。ですから、2台も持っているわけです。

でも、私がモノに対して求めているのは、便利さよりもテイストや道具としての面白みです。さらに言えば、テイストのためならば多少の便利さなど捨ててしまおう、というスタイルを貫きたいと思っています。だって、私にとっての写真は趣味なのです。経済性だとか、効率といった言葉からは、一番遠いところにあるのです。だからこそ、フィルム・カメラに惹かれるのです。


このように思い至ったきっかけがCONTAX G2というカメラです。レンジファインダー・カメラの最もモダンなもので、主に絞り優先AEで使うカメラのようです。また、フォーカスもマニュアルに切り替えられるものの、基本的にはオートです。ライカは露出計内蔵ですが、シャッター・スピードと絞りは撮影者が設定しますし、フォーカスに至っては、頑なにマニュアルです。

このカメラの魅力は、そのデザインでしょう。シャープなラインのシルヴァーのチタン・ボディにブラックのアクセント。上品です。デザインだけではなくスペックもすごい。シャッター速度は1/6000秒まで用意されていますし、パララックス補正式のファインダーを搭載しています。また、カール・ツァイスT*(スター)レンズはやはり、気になるところです。本体が16万3000円で、レンズは28mmが5万7000円です。実売価格は合計18万円くらいになると思います。高いですけど、スタイリッシュなデザインとスペックを考えると、これ以下では無理だろうという気がします。少なくともライカよりは安いし。


でも、ボディだけで15万円くらいまで出せるのならば、いろいろと選択肢はあります。CONTAXではRXという中級一眼レフもありますし、レンジファインダーでは、コニカのHEXAR RFというカメラがあります。もうちょっと出せば、ニコンにしてもキヤノンにしても、フラッグシップのひとつ下のモデル(F100、EOS 3)が買えます。「おお、選択肢が広がったな」と思ったのですが、考えてみると、どれもあまり欲しくありません。RXはレンズの制限でAF化できなかったMF一眼レフという感じですし、ニコンとキヤノンの一眼レフは実用的すぎます。HEXAR RFはボディの価格はG2と同じくらいなのですが、レンズが高いのです。28mmが11万3000円というのはちょっと。それにG2ほどスタイリッシュでもありません。

G2+Biogon T*28mmF2.8で、スナップに行きたいな。


2001年3月2日